米国で有名な「4%ルール」は、リタイア後の資産取り崩し戦略として広く知られています。しかし、日本に住みながら米国株(S&P500など)に投資してこのルールを適用する場合、そのままでは当てはまらない点がいくつかあります。この記事では、日本の税制やインフレ率を考慮した上で、どのような取り崩し率が現実的かを詳しく解説します。
そもそも4%ルールとは?
4%ルールとは、米国のトリニティ大学の研究に基づき「引退後に毎年資産の4%を取り崩しても、30年間は資産が尽きない」という考え方です。この前提は、米国の長期的な株式リターン7%、インフレ率3%、実質リターン4%に基づいています。
つまり、4%=期待リターン7% − インフレ3%という計算に基づいて安全な引き出し額を見積もる手法なのです。
日本から米国株へ投資する場合の違い
日本で米国株に投資する場合、米国と比較して以下のような違いがあります。
- 日本のインフレ率は低め(目標値2%)
- 配当や売却益に20.315%の税金がかかる
- 為替変動の影響を受けやすい
このため、米国に住んでいる投資家と同じ「4%」をそのまま当てはめるのはリスクがあります。
日本版4%ルールの実質的な目安は?
以下のように仮定して計算してみましょう。
- 米国株リターン:7%
- 税引後リターン:7% × (1−0.20315) ≒ 5.6%
- 日本のインフレ率:2%
5.6% − 2% = 実質リターン3.6%となり、これが「安全な取り崩し率」の上限目安となります。
このため、日本居住者が米国株にインデックス投資をしつつ資産を取り崩す場合の安全な取り崩し率は、おおよそ3.5〜3.6%が現実的と言えるでしょう。
考慮すべきリスクと例外
ただし、以下のようなリスクや変数にも注意が必要です。
- 為替の変動:円高になると評価額が目減りする
- 大暴落時の取り崩し:暴落直後に資産を引き出すと回復が難しくなる「シーケンスリスク」
- インフレの加速:実質リターンが想定より低下する可能性
例えば、2020年のコロナショックのように一時的な暴落が起きた場合でも、一定のリターンを前提に取り崩すと、長期的には資産が減りすぎる恐れがあります。
代替案:ダイナミック取り崩し戦略
固定の取り崩し率ではなく、市場の動向や資産の残高に応じて柔軟に取り崩し額を調整する「ダイナミック戦略」も注目されています。
たとえば、資産が前年より減っていたら取り崩しを一時的に減らす、逆に大きく増えていたら多めに使うなどの工夫です。これにより長期的な資産維持の確率を高めることができます。
まとめ:3.5%ルールを基準に、柔軟に対応を
日本から米国株に投資してリタイア後の資産を取り崩す場合、税金と日本のインフレを考慮して実質3.5〜3.6%ルールを目安にするのが現実的です。
ただし、市場環境や為替リスクなど外部要因の変動が大きいため、年ごとの取り崩し戦略を柔軟に見直すことも重要です。安定した資産運用のためには、長期視点とリスク分散がカギとなるでしょう。

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