私たちが日常的に目にする「銀行口座の残高」や「通帳の金額」。これらは一見、現実にどこかに存在するお金のように思えますが、果たして本当にすべての金額に対して現物の紙幣や硬貨が存在しているのでしょうか?この記事では、現代の通貨システムと通帳残高の実態についてわかりやすく解説します。
通帳に記載されているお金の正体とは?
通帳に表示されるお金は、現金(紙幣や硬貨)ではなく、「預金通貨」と呼ばれる数字上のお金です。これは銀行が私たちに対して「これだけの金額を支払う義務がある」として記録しているデータに過ぎません。
たとえば、口座に100万円あると表示されていても、その全額が実際に金庫に現金としてあるわけではなく、あくまで銀行システム上の数値です。
「実際のお金」は全額あるのか?
結論から言うと、日本国内のすべての預金に対して同額の紙幣・硬貨が存在しているわけではありません。このような制度は「部分準備制度(fractional reserve banking)」と呼ばれ、銀行は預かったお金の一部を準備金として中央銀行(日銀)に保管し、残りを貸し出すことが認められています。
たとえば、あなたが銀行に100万円預けたとしても、そのうち90万円は企業や個人への貸出に回り、実際に現金として残っているのは10万円だけというイメージです。
なぜ全額の現金が必要ないのか?
現代では現金よりもキャッシュレス取引や口座振込が主流であり、人々が一斉に全額の現金を引き出すような事態はほとんどありません。したがって、銀行は一定の準備率(例:5〜10%)だけ現金を保有していれば運営できるという仕組みになっています。
ただし、金融不安やパニックによって多くの人が一斉に現金を引き出そうとすると「取り付け騒ぎ(bank run)」が起こり、実際に現金が足りなくなる危険性があります。
中央銀行(日銀)と現金の発行
日本銀行は、必要に応じて紙幣を発行し、銀行に供給します。ただし、この発行にも制限があり、インフレの抑制や経済全体の安定性を保つために、無限には印刷されません。
また、現金以外にも「日銀当座預金」という形で銀行間の資金決済が行われており、お金の多くはデジタル上で動いているのが実情です。
実例:1,000万円の預金と実際の現金
あなたの通帳に1,000万円があったとしても、銀行にその全額の紙幣があるとは限りません。実際には、他の預金者が預けたお金と一緒に管理され、必要に応じて貸し出されたり、運用されたりしています。
それでも、あなたが必要なときにはATMで引き出せるよう、銀行は一定のキャッシュを用意しており、残高も保証されているため、日常の利用に支障はありません。
まとめ:通帳の数字=現物紙幣ではないが、それで問題はない
通帳に記載された残高の裏に現物の紙幣や硬貨が一対一で存在しているわけではありません。これは現代の金融システムの仕組みであり、「信用創造」や「部分準備制度」によって成り立っています。
この仕組みによって経済は効率よく資金を循環させることができているのです。普段は意識しづらいですが、私たちが目にする「お金の数字」は、経済全体が信頼とルールで動いていることの証でもあるのです。

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