マクロ経済学を学び直す際、どの教科書を選ぶかは非常に重要です。特にケインズ経済学の視点を重視する場合、新古典派寄りの理論とは異なる解釈や政策提言を扱う書籍を選ぶ必要があります。本記事では、代表的なマクロ経済学の教科書の特色を比較しつつ、ケインズ派の視点からおすすめの書籍を紹介します。
そもそも「ケインズ派」とは何か?
ケインズ派は、ジョン・メイナード・ケインズの理論を発展させた経済学派です。政府による有効需要の調整、価格や賃金の硬直性、金融市場の不完全性などを重視し、経済が自動的に均衡するとは限らないという立場を取ります。
この観点から見ると、現代マクロ経済学では新ケインジアン(New Keynesian)と呼ばれる理論体系や、IS-LM分析を中心とした伝統的なケインズモデルに基づく解説がなされている教科書が該当します。
ケインズ派を意識したマクロ経済学の代表的テキスト
以下では、代表的なマクロ経済学テキストをピックアップし、ケインズ派との親和性や特徴を紹介します。
1. ブランシャール『マクロ経済学』
おすすめ度:★★★★★
新ケインジアンの代表的経済学者ブランシャールによるこのテキストは、IS-LMモデル、AD-AS分析、DSGEモデルに至るまで幅広くカバーしつつ、価格の硬直性や金融政策の限界などケインズ的視点が随所に見られます。
日本語訳も丁寧で、学部生から大学院初級まで対応できる構成です。特に政策の実務とのつながりが意識されているのも魅力です。
2. クルーグマン&ウェルズ『経済学』
おすすめ度:★★★★☆
クルーグマンもノーベル賞経済学者であり、ケインズ的な立場をとることで知られています。本書ではマクロ・ミクロを一冊で扱いますが、マクロのパートは非常に平易かつ直感的で、初学者におすすめです。
特にリーマン・ショック後の経済政策や、乗数効果の解説など、実証的かつケインズ色が濃い内容です。
3. サミュエルソン&ノードハウス『経済学』
おすすめ度:★★★☆☆
ケインズ理論をアメリカ経済学に定着させた立役者であるサミュエルソンの教科書。長年にわたり定番中の定番として使われてきました。マクロの基礎を押さえるには良い教科書ですが、現代の理論にはやや古さが残ります。
ケインズ派の理論的枠組みの入門としては有効ですが、現代的な展開までをカバーするには補助的な読書が必要です。
他の代表的テキストとの比較
マンキュー『マクロ経済学』
やや新古典派よりの視点も含まれますが、第2部以降の短期分析ではIS-LMモデル、価格硬直性を用いた分析がなされており、ケインズ理論の基本はしっかりカバーされています。バランス重視の構成です。
スティグリッツ『経済学』
格差や情報の非対称性に着目した議論が豊富で、実社会との関連を意識した内容が多いのが特徴です。理論よりも政策・現実の問題にフォーカスしており、補助的な読み物としておすすめです。
チャールズ・ジョーンズ『マクロ経済学』
主に成長理論を扱った内容が中心で、新古典派に近いスタンスを持ちます。ケインズ派を志向する読者にはメインの教科書としてはやや不向きですが、マクロ成長理論を体系的に学ぶには役立ちます。
学習目的に応じた選び方
学習目的によって最適な教科書は異なります。たとえば。
- 政策や現実の経済への応用を重視したい場合 → クルーグマンやスティグリッツ
- 理論的枠組みをしっかり学びたい場合 → ブランシャールやマンキュー
- 経済学の原点に触れたい場合 → サミュエルソン
まとめ
ケインズ派の視点でマクロ経済学を学びたい場合、ブランシャール『マクロ経済学』を中心に、クルーグマンやスティグリッツのテキストを補助的に使うのが効果的です。それぞれの書籍には特徴がありますので、自分の目的やレベルに合わせて選ぶことが大切です。まずは1冊を通読し、必要に応じて他の書籍と併読することで、より深い理解が得られるでしょう。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
コメント