表面利率と直接利回りの違いとは?債券投資の基本と初心者が知っておきたい比較ポイント

資産運用、投資信託、NISA

債券投資をはじめるとよく耳にする「表面利率」と「直接利回り」。用語は聞いたことがあるけれど、実際に何のために比較するのか、初心者にはわかりづらいですよね。この記事では、利付債を例に、表面利率と直接利回りの違いとその比較の意味を具体的に解説します。

表面利率(クーポンレート)とは?

表面利率とは、債券の「額面金額(通常は100円)」に対して毎年支払われる利子の割合です。たとえば、額面100万円の債券で表面利率が1.5%の場合、毎年1万5,000円の利子を受け取ることができます。

この利率は発行時に決められており、債券が償還されるまで変わることはありません。利回りの基準として「この債券は年1.5%の利子が付く」と判断するのが表面利率の役割です。

直接利回りとは?

一方、直接利回りは「購入価格」に対して毎年どれだけ利子を受け取れるか、という視点で計算されます。

たとえば、先ほどの表面利率1.5%の債券を90万円で購入した場合、1万5,000円 ÷ 90万円 = 約1.67%が直接利回りになります。購入額が額面より安ければ直接利回りは高くなり、高ければ低くなります。

なぜこの2つを比較するのか?

比較の目的は、債券を「いくらで買うか」によって、実質的な利益(利回り)が変わるからです。債券は株と違って価格変動が緩やかですが、それでも市場で売買されており、額面と異なる価格で取引されることがよくあります。

たとえば、表面利率が同じ債券AとBがあり、Aは100万円、Bは98万円で買えるなら、当然Bの方が利回りが高くなるわけです。こうして比較することで、投資効率の高い債券を見極める材料になります。

具体的なシチュエーション例

例1:表面利率1.5%の債券を額面通りの100万円で購入した場合
→ 年間利息1万5,000円 ÷ 100万円 = 1.5%(表面利率と直接利回りは一致)

例2:同じ債券を95万円で購入した場合
→ 年間利息1万5,000円 ÷ 95万円 = 約1.58%(直接利回りが上昇)

例3:プレミアム価格105万円で購入した場合
→ 年間利息1万5,000円 ÷ 105万円 = 約1.43%(直接利回りが低下)

利回りの差額の影響は大きい?

一見すると0.1〜0.2%の違いでも、100万円規模の投資で長期間運用すると差が大きくなります。特に10年満期の債券なら、0.2%の利回り差で総額2万円の違いになります。さらに大口投資家や機関投資家では数千万〜数億円単位の投資もあるため、利回りのわずかな差でも収益に直結する重要な指標となります。

まとめ:購入価格によって利回りが変わることを理解しよう

債券投資では、「表面利率=安心の目安」「直接利回り=実質的な投資効率」と考えると理解しやすいでしょう。購入価格に注目することで、見かけの利率だけでなく、本当にお得な投資先かどうかを判断できるようになります。これが初心者が最初に押さえるべき、債券投資の基礎知識のひとつです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました