企業やプロジェクトの資金調達に関する高度な金融手法として知られる「ストラクチャードファイナンス」。本記事では、ストラクチャードファイナンスとは何か、その下位に分類されるファイナンス手法（プロジェクトファイナンス、コーポレートファイナンス、アセットファイナンス、ABL）との違いをわかりやすく解説します。
ストラクチャードファイナンスの基本的な定義
ストラクチャードファイナンス（Structured Finance）とは、複雑な契約構造や複数の金融手段を組み合わせて行う資金調達手法を指します。通常の融資では対応しにくい大規模・複雑なリスクのあるプロジェクトや資産に対して活用されます。
たとえば、不動産開発プロジェクトのための資金調達、再生可能エネルギー案件の開発、航空機や船舶のリースファイナンスなどが該当します。
プロジェクトファイナンスの仕組みと特徴
プロジェクトファイナンスとは、プロジェクト自体が生み出すキャッシュフローを返済原資として行う資金調達手法です。資金提供者は、プロジェクトの成功可能性に基づいてリスクを判断します。
例えば、発電所の建設において、完成後に売電収入からローン返済を行うといった形式です。プロジェクト単体の採算性が評価され、スポンサー企業の信用とは切り離されているのが特徴です。
コーポレートファイナンスの位置づけと違い
コーポレートファイナンス（Corporate Finance）は、企業全体の信用力に基づいて行う資金調達を意味します。債券発行や銀行借入、株式発行などが代表的手段です。
これはプロジェクト単体ではなく企業全体のキャッシュフローで返済を行うため、経営全体の健全性が問われます。ストラクチャードファイナンスとは異なり、仕組みの複雑さは比較的低い傾向にあります。
アセットファイナンスとABL（動産担保融資）の違い
アセットファイナンスは、保有資産（例：航空機・不動産・機械設備）を担保にした資金調達です。資産の評価やキャッシュフローに基づいてファイナンスを構成するのが特徴です。
ABL（Asset-Based Lending）はその一種で、在庫や売掛金などの流動資産を担保にします。例えば、中小企業が売掛債権を担保に短期融資を受ける場合などが該当します。金融機関は定期的に担保の価値を評価し、与信枠を見直します。
用語の整理：全体像と分類のイメージ
「仕組み金融（ストラクチャードファイナンス）」は広義の概念であり、その下位に「プロジェクトファイナンス」「アセットファイナンス」「ABL」などが含まれます。一方、「コーポレートファイナンス」はストラクチャードファイナンスとは異なる独立した資金調達手法です。
- ストラクチャードファイナンス：プロジェクト・アセットベースの複合的な資金調達
- プロジェクトファイナンス：プロジェクトの収益性が基準
- アセットファイナンス／ABL：担保資産が基準
- コーポレートファイナンス：企業全体の信用力が基準
まとめ：ファイナンス手法の理解で資金戦略が広がる
資金調達の選択肢として「ストラクチャードファイナンス」にはさまざまな手法が含まれています。目的やプロジェクトの性質によって適した方法を選ぶことが重要です。
プロジェクト単体で完結する「プロジェクトファイナンス」や、資産に紐づく「アセットファイナンス」、企業全体に依拠する「コーポレートファイナンス」など、それぞれの手法の理解がより良い資金調達計画につながります。
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