日本株における「信用残」は、個人投資家を中心とした信用取引の動向を示す指標として、毎週発表され投資判断の材料として活用されています。特に「信用売残」の数字は下落を狙う売りポジションの動向を示すため、空売りとの関係について誤解されやすい点でもあります。本記事では、「信用売残」と機関投資家の空売りの関係について、正しく理解するための基礎知識と考察を解説します。
信用残とは?〜毎週更新される投資家のポジション情報〜
信用残とは、日本証券金融会社や証券取引所が集計する、信用取引による売買の未決済ポジションの残高を指します。通常、週末(金曜日)時点のデータが翌週火曜日の夜に公表されます。
信用残には次の2つがあります。
- 信用買残:買い建てた信用取引の残高
- 信用売残:売り建てた信用取引の残高(株を借りて売る)
信用売残と空売りはどう違う?
信用売残は、証券会社を通じて個人・法人が日本証券金融会社などから株を借りて行う「制度信用取引」や、証券会社が独自に行う「一般信用取引」に基づく売り建てポジションを集計したものです。
一方で、「空売り(ショートポジション)」には、機関投資家が行う貸株市場での取引や、海外ヘッジファンドによる直接的なショート戦略も含まれており、これらは「信用売残」には含まれません。
機関投資家の空売りはどこに出るのか?
日本では、一定量(発行済株式総数の0.2%以上)の空売りポジションを持った場合、JPX(日本取引所グループ)への報告義務があります。これにより、機関投資家の大口空売りは「空売り残高情報」として閲覧可能です。
つまり、信用売残と空売り残高情報は別データであり、用途や意図も異なります。両者を併用して、市場全体のショートポジションの状況を判断することができます。
実例:個人と機関の売り建ての違い
例えば、ある新興株に対して信用売残が急増したとき、それは多くの場合、個人投資家が値下がりを見込んで信用売りをしていることを意味します。しかし同じタイミングで空売り残高情報に変化が見られなければ、機関投資家は売っていない(または既に売りを解消している)可能性が高いと判断できます。
このように、信用売残だけで空売り圧力を読み解くのは危険であり、空売り残高情報と併用することが重要です。
情報の読み方と投資判断への活用
投資判断では、信用売残が増えることを「将来の買戻し要因」と捉えることもあります。また、逆に信用買残が多い銘柄は「含み損を抱える個人が多く、下落リスクが高い」と見られることも。
空売り残高情報は、機関投資家が本格的に売ってきているのか、あるいは買い戻しを始めたのかを判断する手がかりとなります。
まとめ:信用売残と空売りの正しい理解がカギ
信用売残は、主に個人投資家や証券会社を通じた制度・一般信用取引の売り建て残高を示すものであり、機関投資家の空売りは含まれていません。
空売りの全体像を把握するには、信用売残と空売り残高情報の両方を参照する必要があります。これらを正しく読み解くことで、相場の売り圧力や需給の偏りを把握し、精度の高い投資判断に役立てることができるでしょう。

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