近年、暗号資産の取引所間での事業譲渡や移行が増加しています。2023年にはDMMビットコインからSBI VCトレードへの一部顧客資産の事業譲渡が行われ、多くのユーザーが移行手続きを経験しました。本記事では、こうした移行に伴って発生しうる税務上の疑問、特に「取得価格の把握と売却時の課税計算」について解説します。
仮想通貨の取得価格は税務計算の重要な基礎
ビットコインなどの暗号資産を売却した際の利益は「雑所得」として課税対象になります。その計算には取得時の価格が不可欠であり、「売却価格 − 取得価格」が利益(課税対象)となります。
たとえば、1BTCを100万円で取得し、150万円で売却した場合、50万円が所得となり、所得税・住民税が課されます。この「100万円」が取得価格として正確に記録されていない場合、税計算が困難になります。
DMMビットコインからの移行と取得価格の扱い
2023年のSBI VCトレードへの事業譲渡では、取得時の価格や履歴が移行対象に含まれていない可能性があります。つまり、SBI側にログインしても「取得価格の履歴」が確認できない場合があるのです。
そのため、税務上の正しい利益計算を行うには、旧DMMビットコインでの取引履歴を保管・確認する必要があります。
過去の取引履歴の確認方法
以下の手順で取得価格を確認・記録することが重要です。
- DMMビットコインの旧アカウントにログインし、取引履歴をCSV形式などでダウンロード
- CSVファイルに記載された購入日、購入数量、購入単価を確認
- 履歴が確認できない場合は、サポートに連絡して履歴を請求
移行前にログアウトしてしまった場合でも、事業譲渡のための特別対応がされているケースがあります。
どうしても取得価格がわからない場合の対応
税務署は「合理的な根拠に基づいた自己申告」を前提としています。取得価格の証明が困難な場合には、「時価での取得」とみなされて不利な税額になる可能性があります。
そのため、以下のような対応が有効です。
- 可能な限り購入時のメール通知、銀行送金明細を保存
- 同時期の相場情報を調べて推定価格を記録
- 税理士に相談し、根拠資料と併せて申告準備を行う
仮想通貨の移行と税務は今後も増加傾向
暗号資産の規制整備や業者間統合により、今後も「取引所移行によるデータ不整合」が起こる可能性があります。ユーザー自身が主体的に記録を残す姿勢が、適切な申告とリスク回避のカギとなります。
まとめ:履歴のバックアップと税務知識がカギ
暗号資産の取得価格が不明なまま売却すると、税務リスクが発生します。事業譲渡などによって取引所が変わる場合は、必ず旧取引所の履歴をバックアップしておくことが重要です。もし履歴がない場合でも、できるだけ当時の証拠を集め、税理士などの専門家と相談のうえ、適切な対応を進めましょう。

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