「有事のドル買い」と「有事の金買い」はどう違う?状況別の資産防衛戦略を解説

外国為替、FX

国際情勢が不安定になると、ニュースなどで「有事のドル買い」や「有事の金買い」というフレーズを耳にする機会が増えます。いったいどちらが正しいのか、あるいはどのような場面でどちらが選ばれるのか、本記事ではその違いと背景、そして投資判断に活かせるポイントについて詳しく解説していきます。

「有事のドル買い」とは何か?

「有事のドル買い」とは、戦争やテロ、地政学リスクなど世界的な不安が高まった際に、投資家が米ドルに資金を移す現象のことを指します。これはアメリカ経済が世界最大であり、ドルが国際基軸通貨として信頼性が高いためです。

たとえば、2001年の同時多発テロや2022年のロシア・ウクライナ戦争の初期には、一時的にドル高が進行しました。これは投資家が「一時避難」としてドル資産を選んだためです。

「有事の金買い」の意味とは?

一方で「有事の金買い」は、長期的な信用不安や金融システムそのものへの懸念が強まったときに、安全資産である「金(ゴールド)」に資金が集まる現象です。金は利息を生まない代わりに、国や通貨に依存しない普遍的な価値を持っています。

たとえば、インフレ懸念が高まった2020年代前半や、アメリカの金融不安が話題になったときに金価格が急騰する例がありました。

状況で変わる「ドル買い」か「金買い」かの判断基準

同じ「有事」でも、事態の種類によって投資家の選択肢は異なります。以下のように整理できます。

状況 選ばれやすい資産 理由
地政学リスク(局地的な戦争) ドル 米国債の信頼性が高いため
金融危機(リーマンショックなど) 通貨価値が下落するリスクを避けるため
インフレ・通貨安 実物資産としての保全力に注目が集まる
アメリカ自身が有事 金、スイスフラン ドルへの信頼が低下する場合も

投資家の心理と行動パターン

有事における投資家の動きには、一時的なパニックと、長期的な保全意識という2つのフェーズがあります。前者ではドルが買われ、後者では金や他の資産が選ばれやすくなります。

また、投資家の属性によって選択も変わります。短期売買が中心のトレーダーはドルを選びやすく、資産保全が目的の長期投資家は金に注目する傾向があります。

両方を活用する「分散戦略」も有効

有事の際にどちらを選ぶかに迷うなら、両方に分散投資するのも選択肢の一つです。ドル建て資産(米国債や米株)と、金ETFや金地金などを組み合わせれば、さまざまなリスクに対応しやすくなります。

特に近年は、地政学リスクと金融リスクが重なる場面も増えているため、どちらか一方ではなくバランスを取ることがカギになります。

まとめ:状況次第で変わる「安全資産」

・「有事のドル買い」は短期的な安全通貨への逃避行動
・「有事の金買い」は長期的な価値保全を目的とした動き
・事態の性質に応じて、どちらが選ばれるかは変化する
・分散投資を通じて、複数のリスクに備える戦略も有効

有事の際は感情的な判断ではなく、冷静に資産の特性とリスクを見極めた投資判断が大切です。

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