日本の高度経済成長期(1950年代後半~1970年代初頭)は、世界的にも類を見ないスピードで経済が発展した時代として知られています。その成長の要因の一つとして「家計の貯蓄率が高かったこと」が挙げられますが、これはなぜ経済成長と関係するのでしょうか。本記事ではその仕組みを、できるだけわかりやすく解説していきます。
家計の貯蓄率が高いとはどういうことか?
家計の貯蓄率とは、所得のうち消費せずに貯蓄に回した割合のことです。たとえば、月収が30万円で5万円を貯金した場合、貯蓄率は約17%になります。
日本の高度経済成長期には、家計の貯蓄率が20~25%に達する年もありました。これは世界的にも高い水準であり、国民が将来に備えて「節約して貯金する」文化が広く根付いていた証拠でもあります。
なぜ貯蓄が経済成長につながるのか?
貯蓄は銀行に預けられ、銀行はその資金を企業に貸し出します。企業はこの借りたお金を使って設備投資や研究開発を行い、生産性の向上や新たな商品・サービスの開発を目指します。
つまり、貯蓄 → 銀行貸出 → 企業投資 → 生産拡大 → 経済成長という流れが成立するのです。
高度経済成長期の投資と生産の拡大
当時の日本企業は製造業を中心に大規模な設備投資を行いました。たとえば、自動車工場の自動化、鉄鋼設備の近代化、新幹線や高速道路などインフラ整備も進められました。
これらの投資は単に生産量を増やすだけでなく、製品の品質向上やコスト削減にもつながり、国際競争力を高めることにも貢献しました。
消費が少ないと景気が悪くなるのでは?
一見すると、消費が少なくて貯金が多いと「モノが売れず景気が悪くなる」と思うかもしれませんが、それは短期的な視点です。長期的には、企業が生産性を高めて効率よく商品やサービスを提供できるようになるため、所得も増え、結果的に消費も伸びていきます。
実際、高度経済成長期の日本では、貯蓄と投資が好循環を生み、所得が上がることで消費も徐々に活発になっていきました。
家計の貯蓄が重要だった社会的背景
当時は年金制度や医療制度が今ほど整っておらず、人々は老後や病気への備えとして自然と貯蓄を増やす傾向にありました。また、「持ち家を購入する」「子供の教育費を準備する」など、将来への投資意識も高かったことが貯蓄率上昇の背景にあります。
また、第二次世界大戦後の復興期という事情もあり、「贅沢は敵だ」という価値観が強く、慎ましく生活する文化も貯蓄を促進しました。
まとめ:家計の貯蓄が経済成長の土台に
家計の高い貯蓄率は、単にお金が貯まるというだけでなく、それが銀行を通じて企業活動の原資となり、日本全体の経済成長を支える原動力となりました。消費を抑えてでも将来に備える姿勢が、結果として社会全体の繁栄につながったと言えるでしょう。

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