株式投資やFXなどのテクニカル分析において、移動平均乖離率(かいりりつ)は、トレンドの過熱感や売買タイミングを判断するための重要な指標です。しかし、「乖離率が何%なら買いなのか、売りなのか」といった明確な基準は存在するのでしょうか?この記事では、移動平均乖離率の基本から、売買判断に使われる目安の数値、活用する際の注意点まで、実例を交えてわかりやすく解説します。
移動平均乖離率とは?基本の考え方
移動平均乖離率とは、現在の価格が移動平均線からどの程度離れているか(乖離しているか)を%で表したものです。以下の式で算出されます。
乖離率(%) = ((現在の株価 - 移動平均線の値) ÷ 移動平均線の値) × 100
たとえば、株価が1,050円で、25日移動平均が1,000円なら、乖離率は+5%。逆に950円であれば-5%となります。
買い・売りの目安となる乖離率の水準
一般的には、移動平均線から乖離しすぎた状態が反転のサインとされ、以下のような数値が参考にされます。
- -5%〜-10%:売られすぎ → 買いの目安
- +5%〜+10%:買われすぎ → 売りの目安
ただし、これは目安であり、絶対的な基準ではありません。市場の状況や銘柄のボラティリティによって乖離率の意味合いは変わります。
実際のチャートで見る乖離率の有効性
例1:日経平均株価は、過去に+8%を超えた際に短期的な調整局面に入りやすい傾向が見られます。一方で-6%を超えて下げた場面では、自律反発を起こすケースが多いです。
例2:個別銘柄A社では、+12%の乖離で天井を打ち、-10%の水準でリバウンド。こうした値動きを繰り返す銘柄は、乖離率を逆張り判断の目安として使いやすい傾向があります。
乖離率を使うときの注意点
乖離率は便利な指標ですが、トレンドの強い相場では「買われすぎ・売られすぎ」が続くこともあるため、単独で判断するのは危険です。
以下の点を意識して利用することが重要です。
- トレンド系指標(移動平均線、MACD)と併用する
- 相場全体の地合いやニュースとセットで分析する
- 短期トレードなら5日・25日、長期なら75日乖離率を見る
また、ボラティリティの大きい銘柄ほど「乖離率の大きさ」が通常より広くなるため、銘柄ごとの乖離習性を観察しておくことが有効です。
乖離率と逆張り戦略の関係
乖離率は、逆張りトレードとの相性が良い指標としても知られています。特に「短期間で大きく乖離した場合の反発狙い」は、スイングトレーダーに好まれる手法のひとつです。
ただし、「落ちるナイフは掴むな」という格言の通り、下落トレンド中のマイナス乖離は、さらに下げる危険も伴います。移動平均線の向きやローソク足の形状なども併せて判断しましょう。
まとめ:乖離率の数値だけに頼らず、複合的な分析を
移動平均乖離率は、売買のタイミングを考える上で有効な指標のひとつですが、「何%で売買すべきか」には明確な正解がなく、相場環境や銘柄特性に左右される点を理解しておく必要があります。
テクニカル分析は、複数の指標を重ねて「確度の高いサイン」を見つけるためのツール。乖離率はその中でも特に使いやすいですが、他の指標やファンダメンタル情報ともバランスよく使うことが、安定したトレードにつながります。

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