「20年前に4億円だった金が今では44億円に。これは金が11倍に値上がりしたから?それとも円の価値が11分の1になったから?」という疑問を持つ方が増えています。金(ゴールド)は単なる「儲かる商品」ではなく、通貨や経済の動向を映す鏡でもあります。本記事ではその本質を歴史的背景とともに解き明かします。
金価格が11倍になった?数字の意味を整理しよう
確かに、2000年代初頭には1グラム1,000円台だった金価格は、2025年現在では1グラム1万円を超えています。つまり価格だけを見ると約10倍以上に上昇しています。
これは金そのものの「価値」が劇的に上がったというよりも、主に通貨(円やドル)の価値が下がったこと、そして金の相対的な評価が高まったことが大きな要因です。
金は「利益」を生まない。それでも価格が上がる理由
株式は企業の利益や配当によって価値が生まれますが、金はただ保有しているだけで利子も配当も生みません。それでも金が評価されるのは、「価値の保存手段」として機能するからです。
特にインフレ時や金融不安が広がる局面では、「紙幣」よりも「実物資産」として信頼が集まりやすく、結果として価格が上がります。
円の価値が下がっているという解釈は正しいのか?
「円が11分の1になった」という表現はやや極端ですが、方向性としては正しい指摘です。20年前と比較して、日本円の購買力はインフレや金融緩和、円安によって確実に低下しています。
例えば、1ドル=120円だった為替レートが1ドル=160円になると、海外からの輸入品は高くなり、結果として円の価値は下がっていることになります。
金価格の上昇とマネー供給量の関係
世界中の中央銀行は金融危機やコロナ禍などで大規模な量的緩和(お金の供給)を行ってきました。マネーが過剰になると通貨の価値が薄まり、金などの供給が限られた資産の価値が相対的に上がりやすくなります。
特にリーマン・ショック(2008年)後やコロナ禍(2020年以降)は、金価格が大きく上昇した要因とされています。
実例:金価格と円の推移を比べてみよう
2005年:金価格 約1,200円/グラム、ドル円 約110円
2025年:金価格 約12,000円/グラム、ドル円 約160円
この20年間で円は対ドルで約30%下落し、金価格は10倍に。つまり、円安とインフレ圧力の複合効果で金価格が大幅に上昇したことがわかります。
「金はもう高すぎる」は本当か?
多くの人が「金は高値圏にあるからもう買えない」と考えますが、インフレや通貨不安が続く限り、金への需要は根強くあります。現物保有だけでなく、少額から投資できる純金積立なども人気を集めています。
投資信託やETF(上場投資信託)を通じて金価格に連動した資産を持つことも可能です。
まとめ:金価格の上昇は「通貨の裏返し」でもある
金が11倍に「儲かった」ように見えるのは、むしろ通貨(円)の価値が相対的に下がった結果といえます。金自体は何も生み出しませんが、「紙幣の信頼が揺らぐときに選ばれる資産」として、今後もその役割は続いていくでしょう。
つまり、金価格の上昇は「金の成長」ではなく、「通貨の弱さ」の象徴でもあるのです。

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