株を売って利益が出た場合にかかる税金、いわゆる「譲渡益課税」。現在は約20%が一般的ですが、実はこの税率は時代とともに大きく変化してきました。この記事では、戦後から現在に至るまでの株式売却益に対する課税の変遷と背景について、初めての方にもわかりやすく解説します。
現在の株式売却益の税率は約20%
2025年時点での株式譲渡益への課税は、所得税15.315% + 住民税5%を合わせた約20.315%です。これはNISA口座を除く課税口座で株を売却して利益が出た場合にかかります。
たとえば、株を100万円で買って150万円で売却し、50万円の利益が出た場合、およそ10万円の税金が引かれ、手取り利益は約40万円となります。
戦後の日本における税制と株式課税の背景
日本の税制が整備され始めたのは戦後の混乱期を経た1950年代以降です。当初、株式売却益に対する課税は存在しませんでした。これは、戦後復興期において資本市場の活性化が重要視され、投資を促す目的があったためです。
1960年代以降、証券市場が発展していくなかで、1973年には株式譲渡益課税が本格導入され、課税方式も「申告分離課税」や「申告不要制度」など、時代に応じて細かく変わっていきました。
かつての課税方式と税率の推移
- 1989年:課税率は26%(所得税+住民税)程度だったが、申告方式により実質負担に差があった。
- 2003年:証券税制が大幅改正され、売却益の申告分離課税が20%に統一(10%の軽減措置も一時的に導入)。
- 2013年:復興特別所得税が加わり、現在の約20.315%の税率に。
このように、税率は一貫して20%前後だったわけではなく、時代によって政策的な変更が多々ありました。
インフレ期の課税の問題点とは?
たとえば、戦後の高度経済成長期や1970年代のオイルショック後など、物価が急騰した時代には、実質的には利益が出ていなくても、名目上の株価上昇により課税されるという問題が起こりました。
インフレによる貨幣価値の下落で、実質的な購買力は増えていないのに、見かけ上の「利益」に対して課税されるため、税制のあり方について議論されることもありました。
NISAなど現代の非課税制度の登場
このような課税の複雑さや税負担を軽減するために、2014年からNISA(少額投資非課税制度)が導入されました。現在では、成長投資枠やつみたて枠により、年間最大360万円分までの投資利益が非課税となります。
こうした制度により、多くの個人投資家が将来の資産形成を進めやすくなっています。
まとめ:株式譲渡益課税は時代によって変わってきた
現在では約20%程度の税率で安定している株式売却益の課税ですが、かつては非課税の時代もあれば、より高い税率の時代もありました。インフレ時代や経済政策の転換期には特に変更が多く、今後も政治的な動向によって変化する可能性があります。
投資家としては、税制の変遷や制度の活用方法を知ることが、資産形成をより有利に進めるカギとなるでしょう。

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