企業間の国際取引において、「お金はどうやって支払われ、どのように円やドルに変換されるのか?」と疑問に思う方は多いでしょう。特に貿易や外貨両替における仕組みは複雑で、銀行や為替市場がどのように介在しているのかはあまり知られていません。本記事では、日本の企業がアメリカ企業に商品を販売した場合の実際の資金の流れを、具体例とともにわかりやすく解説します。
国際取引の決済方法:現金ではなく銀行送金が基本
日本のA社がアメリカのB社に商品を販売した場合、代金は現金やドル紙幣、小切手でやり取りされることはほとんどなく、基本的には銀行口座を通じた「国際送金」で決済されます。
たとえば、B社がアメリカの銀行からA社が指定した日本国内銀行の「外貨預金口座(米ドル建て)」に送金します。SWIFTという国際決済ネットワークを通じて処理され、実際の資金は各国の銀行間で調整されます。
ドル建ての入金はどこに着金する?
A社が楽天銀行や三菱UFJ銀行などに持つ「外貨預金口座」や「外貨建て受取口座」に、ドル建てで入金されます。この時点では円にはまだ両替されておらず、A社はドル資産を持つ状態です。
なお、A社がアメリカ国内に法人を持ち、アメリカの銀行口座を持っていれば、そちらに直接ドルが振り込まれるケースもありますが、一般的な取引では日本国内でドルを受け取る方が多いです。
ドルを円に換えるには?為替市場と銀行の役割
受け取ったドルを円に換金するには、A社は銀行に対して「為替売却」(ドル売り円買い)を依頼します。銀行はインターバンク市場や外為ディーラーの取引を通じてドルを売り、円をA社の円口座に入金します。
このとき銀行は為替手数料やスプレッド(売値と買値の差)を収益として得ています。為替レートは刻一刻と変動しており、企業側は為替予約などでレートを固定することもあります。
銀行は円をどこから調達するのか?信用創造との関係
銀行は、外貨売却に応じる際に「既存の円資産」からA社に円を支払います。このときA社の円預金口座が増えることで、マネーサプライが増えたように見えるかもしれませんが、これは信用創造とは少し異なります。
信用創造とは、銀行が新たに貸出をすることで預金が創出される仕組みを指します。一方、為替の両替では、A社の持っていたドル資産を銀行が引き取り、その対価として既に保有している円(準備金や顧客資金)から支払うため、新たな預金を「発行」しているわけではありません。
まとめ:貿易と通貨は「銀行の仲介」と「為替市場」で動く
国際取引では、現金や小切手ではなく銀行口座を通じた送金が主流であり、外貨の受け取りから円への両替まで一連の流れがあります。為替はその都度レートに基づいて処理され、銀行は仲介者として機能しています。
円への両替においては、信用創造のような「新規預金の発行」ではなく、既存の資金の移転と理解するのが正確です。こうした為替取引の仕組みを理解することで、貿易や投資における通貨の動きをよりクリアに捉えることができるでしょう。

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