ミクロ経済学における上級財・下級財・代替財・補完財の関係を徹底解説|需要の法則や粗代替性の見極め方も紹介

経済、景気

ミクロ経済学では、消費者行動を分析する際に「上級財」「下級財」「代替財」「補完財」といった区別が重要です。特に財の価格変化に伴う代替効果・所得効果、さらには粗代替性やギッフェン財の有無などは、試験や実務でも問われる論点です。今回は、3つの財を対象とした応用問題をもとに、それぞれの理論的解釈とパターン別の考え方を整理していきます。

与えられた条件の整理

第1財と第2財は上級財、第3財は下級財。さらに、第2財は第1財の代替財、第3財は第1財の補完財とします。この設定を前提に以下の問題を検討します。

(1) 第1財の価格が下がったときの各財の代替効果・所得効果

代替効果:第1財の価格が下がると、それに対する相対価格が下がるため、より消費されます(増加)。
第2財(代替財)は代替されるため、消費量は減少。第3財(補完財)はセットで使われるため、消費量は増加。

所得効果:第1財が上級財なので、実質所得が上昇すると消費量はさらに増加。
第2財(上級財)も実質所得上昇により消費増。第3財(下級財)は実質所得上昇により消費減。

(2) 第1財の価格低下によって「需要の法則」が成立するか?

代替効果・所得効果ともに消費増なので、総合的に第1財の消費量は増加します。したがって、需要の法則が成り立つといえます。

ただし、もし第1財が下級財で所得効果が負になり、その大きさが代替効果を上回る場合には「ギッフェン財」となる可能性があります。

(3) 第2財は第1財の粗代替財か?

第2財は第1財の代替財かつ上級財。
第1財の価格が下がると第2財は代替効果で消費減、所得効果では消費増。
この2つが相殺されるため、粗代替財とも粗補完財とも限らない

(4) 第3財は第1財の粗補完財か?

第3財は第1財の補完財かつ下級財。
代替効果では消費増、所得効果では消費減。これも相殺されるため、どちらとも確定できない

【ケース別】第1財のみ上級財/すべて上級財のパターン

■ 第1財だけが上級財の場合

第1財の価格低下による所得効果は第1財のみプラス、他はゼロかマイナス。
代替効果は変わらず。総じて第1財の需要は増えるので、需要の法則は成り立つ。

■ すべてが上級財の場合

所得効果はすべての財にプラスに働くが、代替効果と方向が反する可能性が高くなる財(たとえば第2財)は、消費変化が不明確になる。
粗代替財・補完財の判断はより難しくなります。

まとめ

本問題は典型的な「代替効果・所得効果の分解」と「粗代替性の有無」を問う良問です。財の性質(上級/下級)と関係性(代替/補完)をセットで整理することで、確実に解法が見えてきます。試験だけでなく経済政策分析にも活用できるので、しっかり理解しておきましょう。

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