日本の基幹産業である自動車業界に対して「もう終わり」「自然に滅びるものは滅びればいい」といった声も一部に見られます。とくに環境対応やEVシフトへの対応の遅れを指摘する意見も増えてきました。しかし、日本の自動車産業は本当に“自然に任せて”衰退させるべき存在なのでしょうか?この記事では、自動車産業の現状や課題を整理しながら、「支えるべきか、淘汰すべきか」という議論に冷静な視点で迫ります。
日本の自動車産業の立ち位置とは
現在の日本は、世界有数の自動車輸出大国であり、トヨタ・ホンダ・日産といった企業がグローバル市場でも大きな存在感を持っています。2023年にはトヨタが世界販売台数1位を獲得し、EVシフトの波のなかでも競争力を保っています。
また、自動車製造に関わる裾野産業(部品メーカー、整備業、輸送業など)も非常に広く、日本経済の約10%を占めるとも言われています。
自然淘汰論が出てくる背景とは?
「自然に任せて滅ぶならそれでいい」という意見が出る背景には、EV(電気自動車)への対応の遅れや、官民連携の硬直性、イノベーションの欠如などが挙げられます。
たとえばテスラやBYDなどの企業が技術的・コスト的にEVを牽引する一方で、日本勢はハイブリッド車への依存が続き、欧州などから環境対応の遅れを批判されることも。
一方で技術革新は進んでいる
しかし、完全に遅れているわけではありません。たとえばトヨタは2024年以降に全固体電池搭載車を投入予定であり、ホンダはGMと提携してEV戦略を進めています。
また、軽自動車市場では日産の「サクラ」や三菱の「eKクロスEV」など、コスト面でも実用性でも競争力のあるEVが登場しており、都市部を中心にシェアを拡大し始めています。
国家戦略としての支援の是非
「自然に任せる」という主張の背後には、過度な産業保護がイノベーションを妨げるという懸念があります。しかし同時に、自動車産業は国際競争が激しく、政府の支援や法整備なしにサプライチェーン全体が崩壊するリスクも孕んでいます。
たとえば欧州では「Fit for 55」政策の下、EV化と再生可能エネルギーの導入が一体で進められており、日本においても脱炭素政策と産業支援のバランスが求められます。
支える価値のある「変革への挑戦者」
「変化できない企業は淘汰される」というのは市場の鉄則ですが、日本の自動車産業は“変化しつつある”段階にあるとも言えます。支援すべきは過去の成功に縋る企業ではなく、新技術・新戦略に果敢に挑戦するプレイヤーです。
むしろ、変革を支える制度設計とインセンティブ設計によって、「自然淘汰」と「戦略的な進化」を両立させる政策が必要でしょう。
まとめ:日本の自動車産業は“自然淘汰”で済む存在ではない
単に「古いから滅びるべき」と切り捨てるのではなく、自動車産業の持つ経済的・雇用的・技術的インパクトを踏まえた上で、どのような変化を促し、どのような支援を行うべきかという視点が重要です。
競争を促進しつつも、戦略的に支える――そのような産業政策が求められている時代です。

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