金融政策は経済を安定させるために中央銀行が行う重要な施策のひとつです。特に近年注目されているのが「準備預金への付利」と「政策金利」との関係です。この記事では、従来の国債売買による政策金利操作と、準備預金への付利による手法の違いを解説し、現代の金利政策がどのように運営されているかをわかりやすく説明します。
従来の政策金利操作の仕組みとは?
かつて中央銀行は、市場の短期金利(たとえば無担保コールレート翌日物)を目標とする水準に誘導するために、主に公開市場操作(オペレーション)を通じて資金供給量を調整していました。
例えば、市場に資金が余り気味なら日銀は国債を売却して資金を吸収し、金利を引き上げようとします。逆に、資金が不足していれば国債を買い入れて資金を供給し、金利を下げます。
準備預金制度とその金利とは
準備預金とは、銀行が中央銀行(日銀)に預ける預金のことで、一定割合の預金を義務的に預ける仕組みです。かつては準備預金に利子が付かなかったため、銀行はその預金で利益を得ることはできませんでした。
しかし、2008年の金融危機以降、日本でも米国にならって準備預金への付利制度が導入され、中央銀行がこの金利を政策手段の一部として活用するようになりました。
準備預金の付利による政策金利のコントロール
現代の金融政策では、日銀が銀行の準備預金に対して利子を支払うことで、金利の下限を事実上設定しています。これは「補完貸付制度」の一部であり、準備預金付利=政策金利の下限という考え方が一般化しています。
なぜなら、金融機関は中央銀行に預ければ利子がもらえるのに、それより低い金利で他の銀行に貸し出す動機が薄れるため、市場金利はその水準を下回りにくくなるからです。
なぜこの仕組みが重要なのか?
現在のようにマイナス金利やゼロ金利の環境では、オペレーションによる金利操作が限界を迎えつつあります。そこで、準備預金への付利を通じて市場金利に影響を与えることが実効性のある金融政策手段として重視されています。
たとえば、2024年に日銀はマイナス金利政策を解除し、短期金利(コールレート)を誘導するために付利を0.1%と設定したことで、金利の下限が明示されました。
MMTとの関連性
MMT(現代貨幣理論)の支持者は、政府が通貨発行権を持つ限り、財政支出と金融政策の連携が可能だと主張します。この文脈で、準備預金の付利も「金利のコントロールによる通貨価値の維持」として重要視されます。
ただし、MMTでは財政主導で経済安定を図る一方、従来の金融政策では金利操作が中心だったため、この違いも政策議論の焦点になります。
まとめ:現代の金利政策は「付利」によって動く
かつては公開市場操作によって金利を調整していた政策金利は、今や準備預金への付利という仕組みによってコントロールされています。これにより、市場金利は付利によって形成される下限を下回らなくなり、より安定した金融政策運営が可能となっています。
この変化を理解することは、現代金融政策やMMTに関心を持つうえでの基礎となります。

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