無差別曲線は消費者の選好や効用を視覚的に理解するための有効なツールです。しかし、正しい経済学的理解がないと、問題における選択肢の判断が難しくなります。この記事では、無差別曲線の基本を振り返りながら、典型的な試験問題を通じてその解法を丁寧に解説していきます。
無差別曲線とは?
無差別曲線とは、消費者が複数の財を組み合わせたとき、どの組み合わせでも効用(満足度)が等しい点を結んだ曲線です。例えば、ある人がコーヒーとビールを消費しているとき、どちらかが増えればもう一方を減らしても満足度が変わらないという関係を示します。
この曲線は右下がりで、通常は原点に対して凸の形をしており、それが限界代替率逓減を表しています。
問題文の選択肢を検討する
設問では4つの選択肢が提示されており、そのうち2つが正解です。それぞれを詳しく見ていきましょう。
選択肢1:垂直な無差別曲線
正解です。 この選択肢は「コーヒーにしか興味がない花子さん」の無差別曲線が横軸に垂直になるという記述です。横軸がコーヒーで縦軸がビールの場合、ビールの量に関係なくコーヒーの量だけが効用に影響するなら、縦の線(コーヒーの量が一定)ごとに効用が変わるため、無差別曲線は垂直になります。
これは「片方の財にだけ関心がある」極端な選好を示す典型例です。
選択肢2:下級財なら交わる
誤りです。 無差別曲線は個人の効用水準を示すものなので、たとえどちらかの財が下級財であっても、異なる無差別曲線が交わることはありません。交わってしまえば、同じ効用水準であるはずの点が異なる効用を示すという矛盾が生じてしまいます。
選択肢3:原点に向かって凸=限界代替率逓減
正解です。 無差別曲線が原点に向かって凸であるという性質は、限界代替率(MRS)が逓減していることを意味します。これは、ある財を多く持っているほど、その財をさらに得るために他の財を犠牲にする意欲が下がる、という消費者の一般的な行動を反映しています。
たとえば、すでにコーヒーを多く持っていれば、さらにコーヒーを得るためにビールを多く差し出したいとは思わない、という考え方です。
選択肢4:左下ほど効用が高い
誤りです。 無差別曲線は右上に行くほど効用水準が高くなるのが通常です。なぜなら、一般的に「より多くの財を持つほど満足度が高い」という前提(非飽和性)に基づいているためです。したがって、左下=財が少ない=効用が低い、というのが基本です。
無差別曲線の具体例で理解を深めよう
たとえば、Aさんが1杯のコーヒーと1本のビールを消費していたとします。彼にとってどちらも同じ満足度なら、コーヒーを1杯減らす代わりにビールを2本もらうと同じ効用だと感じるなら、その2つの点は無差別曲線上にあります。
しかし、すでにビールを多く持っていれば、コーヒー1杯のためにビール3本も譲ってもいいとは思わないかもしれません。このとき、限界代替率は逓減しており、無差別曲線は凸になっているのです。
まとめ:ミクロ経済の基礎は無差別曲線の理解から
無差別曲線は、消費者行動や効用理論を理解する上で不可欠な概念です。本問のような選択肢形式の問題に対応するには、経済学的な前提(限界代替率、非飽和性、下級財の性質など)をしっかり理解しておくことが大切です。
今回の設問では、選択肢1と3が正解であり、それぞれ消費者の極端な選好と、限界代替率逓減の法則に基づいて導かれます。こうした基本概念を押さえておくことで、より高度なミクロ経済学の問題にも対応できる力が養われていきます。

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