「株は5月に売れ」は本当か?投資家が知っておくべきアノマリーの真実と注意点

経済、景気

株式投資の世界には、経験則から生まれた格言やアノマリー(市場の季節的傾向)が多く存在します。その中でも有名なのが「株は5月に売れ(Sell in May and go away)」という言葉です。この格言は、5月以降の株価が低迷しやすいという傾向を踏まえて言われるものですが、果たして現代でもこの法則は通用するのでしょうか?この記事では、その背景と実際の統計、投資家がとるべき行動について詳しく解説します。

「株は5月に売れ」とは何か?

この格言の語源は欧米にあり、正式には「Sell in May and go away, but remember to come back in September(5月に売って立ち去れ、だが9月には戻ってこい)」とされています。つまり、5月以降の夏場は相場が軟調になりやすく、秋口から再び上昇するという傾向に基づくものです。

この背景には、投資家やトレーダーが夏季休暇に入ることで市場参加者が減り、売買が低調になるという市場心理も影響しているとされています。

実際のデータで検証してみる

日本市場(日経平均株価)においても、「5月に売る」戦略の有効性を検証するため、過去の月別リターンを見てみると、5月〜9月にかけては平均リターンが他の月より低い傾向が見られることがあります。

一例として、2000年以降のデータでは、6月や8月はマイナスリターンが多く、反対に11月や12月はプラスリターンとなる年が多いです。ただし、すべての年に当てはまるわけではなく、相場環境や経済政策によって結果は異なります。

この格言が成り立つ理由と背景

「5月に売れ」とされる理由には、以下のような要因が挙げられます。

  • 日本企業の3月決算後の一服ムード
  • ゴールデンウィークを含む連休による取引低調
  • 夏枯れ相場(出来高減少による値動きの鈍さ)
  • 海外ではサマータイムでの機関投資家の動きの変化

これらが重なることで、市場全体が方向感を失いやすくなり、株価が上昇しづらくなるのです。

格言に従うリスクと柔軟な対応の重要性

「株は5月に売れ」という言葉に機械的に従ってしまうと、大きな上昇相場を逃してしまう可能性もあります。たとえば、2020年のようにコロナ後の金融緩和で5月以降も上昇を続けた年もありました。

また、5月に売っても9月以降の再参入が難しく、投資タイミングを誤るケースも。短期のアノマリーだけに頼らず、企業のファンダメンタルズやマクロ経済の動向にも目を向けるべきです。

投資家が取るべき行動とは?

5月相場において投資家が意識すべきポイントは次の通りです。

  • 損切りや利確のルールを事前に決めておく
  • 一部ポジションを利益確定して現金比率を上げる
  • 高値掴みを避けるために段階的な買い下がりを意識する
  • セクターごとの強弱や、業績に注目した選別投資を行う

特に初心者にとっては、焦って売買するよりも中長期の視点で持ち株を評価し直すよいタイミングとも言えます。

まとめ:「5月に売れ」はヒントのひとつにすぎない

「株は5月に売れ」という格言には一定の根拠がありますが、それがすべての年・すべての銘柄に当てはまるわけではありません。相場は常に変化しており、過去のアノマリーが未来を保証するものではないことを理解することが重要です。

格言を鵜呑みにせず、あくまで投資判断の材料の一つとして捉え、自分自身の投資戦略や資産配分を見直す機会に活用しましょう。

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