農業経済の授業で登場する「蜘蛛の巣理論」は、価格と生産量の変動が時間的にずれて調整される市場の動きを説明するモデルです。しかし、すべての市場でこの理論が成り立つわけではありません。特に、需要と供給の反応の違いによっては、価格が均衡に収束せず、発散してしまうケースもあります。この記事では、蜘蛛の巣理論が成り立たない場合の需要供給曲線について、具体的な図解とともにわかりやすく解説します。
蜘蛛の巣理論とは何か?
蜘蛛の巣理論(Cobweb Theory)は、供給者が前期の価格を基に生産量を決定し、その結果として市場価格が変動するというモデルです。この理論は、特に農業市場のように生産に時間がかかる場合に適用されます。
例えば、農家が今年の作付けを昨年の価格を参考に決めた場合、収穫時の市場価格が予想と異なることがあります。これが繰り返されると、価格と生産量が周期的に変動し、グラフ上では蜘蛛の巣のような軌跡を描きます。
蜘蛛の巣理論が成り立たないケースとは?
蜘蛛の巣理論が成り立たない、つまり価格が均衡に収束しないケースは、需要曲線の傾きの絶対値が供給曲線の傾きの絶対値より大きい場合です。この場合、価格と生産量の変動が次第に大きくなり、均衡から離れていきます。
これは、需要の価格弾力性が高く、価格の変動に対して需要量が大きく反応する場合に起こります。結果として、市場は安定せず、価格と生産量が発散していくことになります。
需要供給曲線の描き方:発散するケース
蜘蛛の巣理論が成り立たない場合の需要供給曲線は、以下のように描かれます。
- 縦軸に価格(P)、横軸に数量(Q)を取る。
- 需要曲線(D)は右下がりで急な傾き。
- 供給曲線(S)は右上がりで緩やかな傾き。
- 均衡点(E)から始まり、価格と数量の調整が均衡点から離れていく軌跡を描く。
このようなグラフでは、価格と数量の変動が次第に大きくなり、均衡に収束しないことが視覚的に示されます。
実例:農産物市場での発散ケース
例えば、ある農産物の市場で、価格が下がると消費者の需要が大きく増加する一方で、生産者の供給量の変化が小さい場合、価格と数量の変動が発散することがあります。
このような市場では、価格の変動が大きくなりやすく、安定した市場均衡が達成されにくくなります。
まとめ:蜘蛛の巣理論の限界と市場の安定性
蜘蛛の巣理論は、市場の価格と数量の調整過程を理解する上で有用なモデルですが、すべての市場で成り立つわけではありません。特に、需要の価格弾力性が高い場合には、価格と数量の変動が発散し、市場が安定しないことがあります。
このようなケースでは、政府の介入や市場メカニズムの改善が必要となる場合もあります。市場の安定性を保つためには、需要と供給の特性を正しく理解し、適切な対応を行うことが重要です。

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