赤字国債は本当に“借金”なのか?財政のリアルをわかりやすく解説

経済、景気

「赤字国債=借金」という言葉を耳にすると、国家財政が破綻寸前なのではと不安になる方も多いでしょう。しかし、赤字国債の性質や役割を正確に理解することが、冷静な判断に繋がります。本記事では、赤字国債が本当に“借金”なのか、またそれが日本経済に与える影響についてわかりやすく解説します。

赤字国債とは?建設国債との違いを整理

国債には大きく分けて「建設国債」と「赤字国債」の2種類があります。前者は道路や学校など将来の成長に資する公共事業のために発行され、後者は税収だけでは賄えない歳出(例:社会保障費など)を補うために発行されるものです。

赤字国債は「財政法」により原則禁止されていますが、「特例公債法」によって国会の承認を得た場合に限り発行が可能です。

なぜ“赤字国債=借金”とされるのか

赤字国債は政府が投資家から資金を借りる形で発行され、利子付きで返済される必要があるため、会計上は明確に「借金」に該当します。家計に例えると、生活費が足りないためにローンを組んでいるような状態です。

ただし、国は中央銀行や市場から資金を調達できるため、家庭の借金とまったく同列には扱えない点に注意が必要です。

“赤字国債=悪”と決めつけるのは早計

一見すると財政健全性を損なう赤字国債ですが、経済の停滞期には財政出動を通じて景気を下支えする役割を果たします。実際、リーマンショックやコロナ禍においても多くの国が赤字国債を発行し、雇用や生活を守ってきました。

例えば2020年度、日本政府は新型コロナ対策として約60兆円規模の赤字国債を発行しましたが、これは全国民に給付金を配ったり、医療体制を支えるための重要な資金源となりました。

日銀の国債保有と“借金”の意味の変化

現在、日本銀行は発行された国債の半数以上を保有しています。これは政府が発行した国債を中央銀行が引き受ける形になっており、実質的には“政府内の資金移動”と見る向きもあります。

この構造により「国債の返済に対する市場の懸念は当面ない」との見方もありますが、一方で過度な依存は将来のインフレや通貨信認に影響を与えるリスクも指摘されています。

借金ではあるが、“破綻”とは違う

確かに赤字国債は借金ですが、それが即“財政破綻”や“危機的状況”を意味するわけではありません。重要なのは、その借金が何のために使われているか、そして将来の成長や税収増に繋がる支出となっているかどうかです。

健全な財政運営とは、収支のバランスだけでなく、「投資の質」や「経済成長との連動」を見据えて判断されるべきです。

まとめ:赤字国債は“借金”であり“道具”でもある

赤字国債は形式上「借金」であることに間違いありませんが、それは単に悪者ではなく、経済や社会を支えるための“道具”として機能しています。問題なのは借金の“有無”ではなく、その“使い道”と“将来世代への影響”です。

国民一人ひとりがこの仕組みを理解し、財政運営への正しい関心を持つことが、持続可能な社会の第一歩です。

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