投資家の間でよく議論されるテーマの一つが、S&P500とオルカン（オール・カントリー・ワールド・インデックス）の組み合わせです。これらを併せて購入することが、果たして分散投資として有効なのか、それとも米国株の割合が高まり、逆に分散投資の効果が薄れてしまうのか。この記事では、その点について詳しく解説します。
1. S&P500とオルカンの特徴と分散効果
S&P500は、米国の大手500社の株式を対象としたインデックスです。これに対して、オルカンは世界中の株式をカバーし、米国株だけでなく、ヨーロッパや新興市場の株式も含まれています。このため、オルカンを購入することにより、世界的な分散投資が可能となり、特に米国株に過度に依存しない形でリスクを分散することができます。
ただし、オルカンの中でも米国株は約6割を占めており、実質的にはS&P500とかなりの重複があることになります。そのため、S&P500とオルカンを両方持つことによる「無駄な分散」はあるのかもしれません。
2. 米国株が不調な時のオルカンの動き
オルカンの特筆すべき点は、時々の市場情勢により構成銘柄が変動するところです。例えば、米国株が不調になれば、オルカン内の米国株の比率は自然と減少し、他の地域（欧州やアジア）の株式が相対的に増加します。この動きは、長期的に見れば、米国株の不調を補うための一つのリスク分散策となります。
この点を踏まえれば、S&P500とオルカンを併せて保有することは、単純に米国株の割合を増やすことにならず、分散効果をもたらす可能性が高いと言えます。
3. S&P500とオルカンの両方を保有する利点
両方のインデックスを保有することで、米国経済が好調な時期にはS&P500の成長を享受し、米国株が不調な時期にはオルカンによる他地域の株式のパフォーマンスに助けられることになります。つまり、米国の景気循環に対するリスクを軽減できるという利点があります。
また、オルカンは地域別に均等な配分ではなく、マーケットキャップ（時価総額）に基づいて構成されているため、他地域の株式が米国株のパフォーマンスに依存しない形で影響を受けるため、分散投資としての効果が期待できます。
4. 長期投資の視点から見た組み合わせ
長期的な視点で見ると、S&P500とオルカンの両方を保有することで、世界中の経済成長に幅広く投資することができます。過去のデータを見ても、米国を含む先進国や新興市場の経済は異なるサイクルで動いており、分散投資によって安定的なリターンを狙うことが可能です。
したがって、短期的な変動に捉われず、長期的にリスクを分散しながら投資を行いたい場合には、S&P500とオルカンの両方を保有することは無駄ではなく、むしろ効果的な戦略となるでしょう。
5. まとめ
S&P500とオルカンの併用については、確かに重複している部分もありますが、オルカンの構成変更により、米国株の不調を補うことができるため、分散投資として有効な方法となります。長期的な視点で見ると、これらを両方保有することにより、より広範なリスク分散が可能となり、安定的な成長を期待することができます。
したがって、S&P500とオルカンの両方を保持することは、無駄ではなく、むしろ賢明な投資戦略となるでしょう。
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