企業年金制度には大きく分けて「確定拠出年金(DC)」と「確定給付年金(DB)」の2つがあります。近年、一部の企業では制度の見直しを進めており、確定拠出年金から確定給付年金への移行が行われるケースも増えています。では、制度が変更された場合、これまで自分で運用してきた資産や投資の自由度はどうなるのでしょうか。本記事では、その仕組みと注意点について丁寧に解説します。
確定拠出年金(DC)と確定給付年金(DB)の違いとは?
まずは基本的な違いを整理しておきましょう。
項目 | 確定拠出年金(DC) | 確定給付年金(DB) |
---|---|---|
給付額 | 運用結果により変動 | あらかじめ決まっている |
運用者 | 本人(加入者) | 企業または年金基金 |
リスクの所在 | 本人が負う | 企業が負う |
DCは「自己責任での資産形成」が基本であり、DBは「企業が給付額を保証する」という違いがあります。
移行時にこれまでの運用資産はどうなるのか?
確定拠出年金から確定給付年金へ移行する際、すでに積み立てられた個人資産(口座の残高)は原則そのまま保持されます。つまり、これまで積み立てた資産は「移行時点でロックされ」、運用は終了するか、または個人型DC(iDeCo)などへ移管する形になることが多いです。
企業によっては、その資産を一部確定給付年金の原資として引き継ぎ、給付設計に組み込むケースもありますが、その方法は制度設計により異なるため、詳細は会社からの説明資料を確認する必要があります。
自分で運用するスタイルは継続できるのか?
確定給付年金に移行した後は、基本的に本人が投資信託などを選んで運用することはなくなります。DBでは、企業側または年金基金が資産を一括で管理・運用するため、加入者が個別に投資選択をすることはできません。
つまり、「自身で投資信託を選ぶ」というDC特有のスタイルは終了し、あとは企業側の運用成果に応じた給付を受け取る仕組みへと移行します。
将来の受取額はどうなるのか?
DBへ移行した場合、給付額は「給与・勤続年数・平均標準報酬」などに応じて決定されるのが一般的です。市場の変動に左右されない代わりに、自らの工夫による資産形成の余地は少なくなります。
DCでは、運用成果がよければ受け取る年金額を大きく増やすことも可能でしたが、DBでは企業側が安定的な年金額を保証する代わりに、個別の運用リスクは負いません。
iDeCoへの移行という選択肢も
もしこれまでのDC資産を自分で引き続き運用したい場合、iDeCo(個人型確定拠出年金)への移管が選択肢となります。iDeCoに移すことで、これまでの資産を引き続き自分の選んだ投資信託などで運用することが可能です。
ただし、iDeCoは原則60歳まで引き出せないなどの制約があるため、移管前に制度の詳細を十分に確認しましょう。
まとめ:制度の違いを理解し、自分に合った選択を
確定拠出年金から確定給付年金への移行は、資産形成のスタイルが大きく変わる転機です。これまで自分で運用してきた資産は、基本的にそのまま保持されるか、移管される形になりますが、今後は企業主導の運用に変わり、個人での投資選択の自由はなくなります。
iDeCoなどの制度も視野に入れつつ、自分の将来設計に合った選択をすることが重要です。

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