1990年代後半、日本の金融制度は大きな転換期を迎えました。「金融ビッグバン」と呼ばれる一連の改革がもたらした影響は広範囲に及び、中でも信託子会社の増加は見逃せない動きのひとつです。本記事では、金融ビッグバンの概要とその背景、信託子会社が増加した理由について解説します。
金融ビッグバンとは?その背景と目的
金融ビッグバンとは、1996年に橋本内閣が打ち出した日本の金融制度改革の総称です。「フリー」「フェア」「グローバル」を基本方針とし、金融市場の国際競争力強化を目指しました。
この改革は主に、
- 証券取引の自由化
- 銀行・保険・証券の業際規制の緩和
- 金融商品の多様化・高付加価値化
- 外資系金融機関の参入促進
といった施策を中心に進められました。
業際規制の緩和と信託子会社の登場
従来の日本では、銀行・証券・保険の業務はそれぞれ厳格に分離されていました。しかし、金融ビッグバンによって業際規制が大幅に緩和され、銀行が信託業務を行えるようになりました。
その結果、銀行が新たに「信託子会社」を設立し、資産運用や相続信託、不動産信託など多様なサービスを提供できる体制が整いました。
信託子会社が増加した理由
銀行が信託子会社を持つようになったのは、次のような理由があります。
- 資産運用・信託業務への参入による収益源の多角化
- 高齢化社会に伴う相続・資産承継ニーズの高まり
- 不動産信託や投資信託など新商品の展開
たとえば、三菱UFJ信託銀行はグループの中核として、年金・不動産・証券代行など多岐にわたるサービスを展開しています。
信託子会社の機能と特徴
信託子会社は、顧客から託された資産の管理・運用を行う業務を中心に据えています。そのため、以下のようなサービスが提供されます。
- 相続対策のための遺言信託
- 不動産の管理・運用信託
- 企業年金の運用受託
これは、従来の銀行業務では提供が難しかった分野であり、信託子会社を通じて高付加価値な金融サービスを実現する手段となったのです。
他国との比較から見る信託子会社の意義
アメリカでは以前から信託銀行が存在し、投資や相続に活用されていました。日本も金融ビッグバンを機に、世界水準の金融サービスの導入を目指した結果、信託子会社が整備されるようになったのです。
このような制度の整備は、国内金融機関の競争力を高め、海外資本の受け入れ体制を強化する役割も果たしました。
まとめ:信託子会社の増加は金融ビッグバンの象徴
金融ビッグバンは、単なる制度変更ではなく、日本の金融業界を根本から変える大改革でした。その中でも、信託子会社の設立と増加は、規制緩和によって生まれた新たなビジネスモデルの好例と言えます。
今後も少子高齢化や資産承継への関心の高まりとともに、信託子会社の役割はますます重要になっていくでしょう。

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