テクニカル分析において、移動平均線(MA)から価格が乖離した際に、その乖離を埋めに行くような動きを狙うトレード手法があります。これは一見すると逆張り戦略に見えますが、実際にはその背景にある相場の流れを正しく理解しなければなりません。本記事では、乖離を埋めに行くトレードの基本から、逆張りとの関係、そして実践的な活用法までを詳しく解説します。
MAからの乖離とは何か?
移動平均線(Moving Average)は、一定期間の価格平均を算出することで価格のトレンドを把握する指標です。価格がこの移動平均線から大きく離れることを「乖離」と呼びます。一般的に価格がMAより大きく上に乖離している場合は「買われすぎ」、下に乖離している場合は「売られすぎ」と判断される傾向があります。
この乖離が大きくなると、やがて価格が平均値に回帰する動きが起こりやすくなり、これを狙ってトレードするのが「乖離を埋めるトレード」です。
乖離を埋める動きは逆張りか?
一見、トレンドに逆らってエントリーするように思えるため「逆張り」と認識されがちですが、必ずしもそうではありません。たとえば、上昇トレンド中に一時的な急騰があり、その後MAに向かって下落する場面で買いを狙う場合、それはあくまで「調整からの押し目買い」という順張り的戦略にもなり得ます。
重要なのは、現在の価格の動きが「トレンド中の調整」なのか「本格的なトレンド転換」なのかを見極めることです。
トレンド転換との関係
トレンド転換時は、MAとの乖離が大きくなる一方で、価格がMAに戻るのではなく、むしろ新しいMAを形成し始めるケースも多く見られます。このような局面では「乖離を埋めに行くトレード」は成立しづらく、誤った判断になりかねません。
したがって、単に「乖離が大きいから戻るだろう」と短絡的にエントリーするのではなく、ローソク足のパターンや出来高、オシレーター系の指標(RSI、MACDなど)を併用してエントリータイミングを慎重に見極めることが重要です。
実践例:上昇トレンド中の押し目買い
たとえば、日経平均株価が25日移動平均線に対して5%以上上昇していたとします。このとき、短期的に利確売りが出て一時的に価格が下落し、移動平均線付近まで戻った場面で買いを入れる戦略が有効です。
この戦略は乖離の是正を狙っているものの、あくまでトレンド方向(この例では上昇)と同じ方向にポジションを取るため「順張り的な乖離トレード」となります。
乖離トレードを成功させる3つのポイント
- 乖離の大きさ:5%以上の乖離は過熱感のサイン。3%以内でのエントリーは慎重に。
- トレンドの有無:上位足(週足や日足)でのトレンド確認が必要。
- 補助指標の活用:MACDのクロスやRSIのダイバージェンスなども確認して優位性を高める。
まとめ
MAからの乖離を埋めに行くトレードは、一見すると逆張りに見えがちですが、実際にはトレンドとの整合性を取ることで「順張り型」の戦略にもなります。重要なのは、乖離そのものよりも、その背景にある相場環境やトレンドを正確に把握することです。
これから乖離トレードを活用しようと考えている方は、単なるテクニカル指標の数値だけに頼らず、マルチタイムフレーム分析や複数指標の併用を意識した判断が求められます。

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