最近、「核分裂炉の廃棄物から金が採れて金の価格がゼロになる」という話がSNSで拡散しています。一見ショッキングですが、このような主張は科学的にどこまで根拠があるのでしょうか。この記事では、現状の技術や事例をもとに冷静に検証します。
金は核技術で合成可能?現実的な量とは
理論上、粒子加速器や核反応で金を合成することは可能ですが、実験で作れる量は極めて微量です。たとえば、ビスマスから数千原子の金を合成できた研究もありますが、実用的な製造には程遠いものだったという記録があります。
最新の研究でも、核融合炉で水銀を中性子照射して金に変換できるという理論は提唱されているものの、現在はあくまで理論段階であり、実際の商業化や大量生産には至っていません。
将来の核融合時代に金が大量生産されるという主張の真偽
米スタートアップのMarathon Fusionは、1GWの核融合炉から年間数トンの金が作れると主張しています。この金は放射性を帯びており、安全に使用できるようになるまでには13〜18年の保管が必要だとされています。
しかし、この技術はまだ商業用の核融合炉自体が実現しておらず、実験的・理論的な段階に留まっています。技術的・コスト的なハードルは高く、現時点で価格暴落に直結する状況ではありません。
電子廃棄物から金を回収する技術はあるが、それとは別物
一方、電子廃棄物(e‑waste)から金を回収する技術は進んでおり、廃スマートフォンや基板などから高効率で回収する取り組みが現実化しています。
スイスETHチューリッヒ大などによる“タンパク質スポンジ”による抽出法では、20枚のマザーボードから0.45g程度の金を回収できた実証実験があり、環境保護と資源循環の観点から注目されています。
なぜ「金価格ゼロ」は誇張なのか?
仮に将来自動的に金が大量生産されるようになっても、放射性の除去、流通管理、信頼の確保など多くの困難があります。いわば合成金は「普通の金」とは異質であり、価格下落にはつながりにくいと考えられます。
また、実用化には何十年もかかると予想されており、現段階で金の価値を脅かすにはあまりにも距離があります。
仮に金の量が将来増えても価値が残るのか?
金が希少性をもとに価値を持つという性質は、もし大量生産できてもすぐには揺らがないでしょう。中央銀行の準備資産や、投資家の心理的な信頼といった価値は、技術的な生産量だけでは簡単に壊れません。
むしろ、他の希少資産や仮想通貨、不動産、芸術作品といった代替的資産にも注目が分散する可能性があります。
まとめ:核融合で金価格がゼロという話はまだ夢の段階
現時点では、「廃棄物から金を採って金価格ゼロ」の主張は科学的に根拠が薄く、誤解を招く可能性が高いです。
今後、核融合技術や元素変換が進展する可能性はありますが、大量生産・商業化には長い年月と技術的な課題があります。金の価値がすぐに消えるというのは、現実的には非常に可能性が低いと言えるでしょう。

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