「資産が必ず増える」投資指南に潜むリスクとは?ネット証券口座を預ける前に知っておくべき危険性

資産運用、投資信託、NISA

「あなたの代わりに資産を運用します」「絶対に儲かる」といった言葉に惹かれ、ネット証券の口座を開設し、IDやパスワードを指南役に渡すという行為が広がりつつあります。しかしこのような“お任せ投資”には重大なリスクが潜んでいます。この記事では、そうしたスキームに巻き込まれないための注意点と対処法を解説します。

他人に証券口座を運用させることの法的な問題

証券会社の利用規約では、原則として「口座は本人以外が操作してはならない」と明記されています。IDやパスワードを第三者に渡し、代わりに運用してもらう行為は、証券会社との契約違反であり、最悪の場合は口座凍結や取引停止の措置を受けることもあります。

また、金融商品取引法上でも、有償で他人の資産を運用する場合は「投資助言業」や「投資運用業」の登録が必要となり、無登録での提供は違法行為となります。

「必ず儲かる」話には要注意──典型的な投資詐欺の手口

過去の金融庁や消費者庁の注意喚起事例を見ると、「月利10%保証」「一度も損したことがない」など、魅力的な言葉で勧誘する未登録業者が多数報告されています。こうしたケースでは、運用と称して資金を持ち逃げされる、またはポンジスキーム(出資金を別の出資者への配当金に流用)で破綻することがほとんどです。

例として、2020年に摘発されたある詐欺事件では、SNSでの勧誘から始まり、実際の証券取引は一切行われていなかったというケースもありました。

メール転送や認証情報の共有にも潜むセキュリティリスク

IDとパスワードの共有だけでなく、スマホに届く認証コードや取引通知メールの転送設定まで行うと、完全に口座のコントロールを第三者に委ねる状態になります。これは、資産流出だけでなく個人情報の漏洩リスクも非常に高くなります。

一度でも不審なアクセスや取引があった場合、補償対象外とされる可能性があり、自己責任での損害となるケースが多く見られます。

もし巻き込まれてしまったら?取るべき対応とは

すでにID・パスワードを渡してしまっている場合、まずはすぐに証券口座のパスワード変更と二段階認証の再設定を行いましょう。そして、証券会社や警察のサイバー犯罪窓口、または消費生活センターに相談することが大切です。

全国の消費生活センター一覧(国民生活センター)も活用できます。

「儲け話」はなぜ人を惹きつけるのか──冷静な判断が重要

「何もしなくてもお金が増える」「プロに任せれば安心」といった思考は、特に投資初心者が陥りやすい心理です。金融知識が十分でないうちに大金を託すことは、自ら危険に飛び込むようなものです。

本当に信頼できるアドバイザーであれば、IDやパスワードを求めず、証券会社と正規に提携したファイナンシャルアドバイザー(IFA)などが適切な助言を行ってくれるはずです。

まとめ:資産運用は“自分の責任で管理する”が基本

証券口座の情報を他人に渡して運用を任せることは、重大なリスクと法的な問題を伴います。「必ず増える」「プロに任せて安心」などのうたい文句に惑わされず、自分自身で判断・管理する姿勢が投資では最も大切です。

不安がある場合は、金融庁登録のある正規の金融機関や専門家に相談することをおすすめします。

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