近年、金価格は過去最高水準に達するなど、歴史的な高騰を続けています。かつて1gあたり4,000円前後だった価格が、現在では9,000円を超えることも珍しくありません。なぜこれほどまでに金の価格が上がっているのでしょうか?その背景には、複数の経済要因や世界情勢の影響があります。本記事では、金価格の上昇要因を多角的に解説します。
インフレ懸念と金の「実物資産」価値
世界的なインフレの加速が、金価格高騰の大きな要因の一つです。特にコロナ禍後の大規模金融緩和や財政出動により、市場には大量の通貨が供給されました。その結果、通貨の実質的な価値が下がり、物価が上昇しています。
インフレに対するヘッジ手段として注目されるのが金です。金は実物資産であり、中央銀行が増刷できる紙幣とは異なり希少性があります。そのため、貨幣価値が下がる局面では相対的に金の価値が上がりやすくなるのです。
例えば、米国では2022年から2023年にかけて消費者物価指数(CPI)が大きく上昇し、そのタイミングで金価格も急伸しました。
地政学リスクの高まりと安全資産への需要
ウクライナ情勢、中東問題、台湾海峡を巡る緊張など、地政学的リスクが高まるたびに金価格は上昇します。これは、金が「有事の金」とも呼ばれ、安全資産としての役割を果たすためです。
不安定な情勢では、株式や通貨などリスク資産から資金が引き揚げられ、より安定性が期待される金に資金が流れます。過去には、湾岸戦争、リーマンショック、コロナショックなどでも金価格が急騰しました。
2024年以降の国際紛争リスクや経済制裁の影響も、引き続き金需要を押し上げる要因となっています。
中央銀行による金の大量買い入れ
近年、各国の中央銀行が金準備を積極的に増やしています。特に中国やロシア、インドなどの新興国がドル依存を減らすため、金の保有を拡大しているのが特徴です。
2023年には中央銀行による金購入量が過去最高を記録しました。これは、国際的な不安定性への備えと、自国通貨の信頼性を支える狙いがあります。
供給量が限られている中で、こうした大口の需要が価格上昇を一層加速させています。
金ETFや個人投資家による需要の増加
近年では、金に直接投資できる金融商品(ETF)やインターネット証券を通じた少額投資が一般化し、個人投資家の金需要も急増しています。これにより、価格は需給バランスの観点からも上昇しています。
特に、日本では2023年以降の円安やインフレへの不安感から、金投資を始める個人が増加しました。純金積立や地金購入、ETFなど手段も多様化しています。
たとえばSBI証券や楽天証券では、毎月1,000円からの積立購入が可能になっており、金の敷居が大きく下がっています。
為替の影響と円安による国内金価格の上昇
日本国内における金価格には、国際価格(ドル建て)だけでなく、為替レートの影響も強く反映されます。特に2022年以降の急激な円安が、国内金価格の上昇を後押ししました。
たとえば、国際市場で金価格が1オンス=1,900ドルのままでも、1ドル=110円と1ドル=150円では、円換算での金価格に大きな差が出ます。
つまり、円安時には同じドル価格でも日本円での金価格は高くなるため、為替変動は投資判断の重要な要素となります。
まとめ:金価格は複数要因で構成される「信頼の指標」
金価格の高騰には、インフレや地政学的リスク、中央銀行の買い入れ、個人投資家の需要、為替など多くの要因が複雑に絡み合っています。
単なる投資商品というよりも、金は「経済や通貨への信頼度を反映する指標」とも言えます。今後も世界情勢や政策動向に注目しながら、慎重かつ長期的な視点で金価格を捉えていくことが重要です。

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