株式市場には「取引所」と「PTS(私設取引システム)」があります。PTSは夜間や早朝にも取引できる利便性がある一方で、取引ルールは証券取引所と異なる点が多く、特に「ストップ高」や「比例配分」について誤解されやすいポイントです。本記事では、PTSにおけるストップ高や比例配分の有無、そして投資家として知っておくべきポイントを解説します。
PTS取引とは何か
PTS(Proprietary Trading System)とは、証券取引所を介さずに株式売買ができるシステムです。SBI証券の「SBI PTS」や、松井証券・楽天証券などが対応している「ジャパンネクストPTS」が代表例です。多くの場合、夜間取引が可能で、通常の取引時間を逃した場合でも注文できます。
例:SBI PTSでは8:20~16:00(デイタイム・セッション)および17:00~23:59(ナイトタイム・セッション)で取引が可能です。
PTSにはストップ高・ストップ安は存在しない
PTSでは、取引所と異なりストップ高やストップ安の制度は適用されません。そのため、理論上は1日で大幅な値動きをすることも可能です。ただし、価格帯によっては板が薄くなり、流動性が著しく低下するため、約定が困難になる場合があります。
つまり、PTSで価格が大きく上昇していても、それは市場の成り行きであって、取引所のような「ストップ高」規制ではありません。
比例配分とは?PTSで適用されるのか
比例配分とは、主に取引所で「ストップ高・ストップ安」状態かつ「買い注文または売り注文が殺到して約定しない」場合に、抽選で一部の注文だけを成立させる制度です。
PTS取引ではこの比例配分制度はありません。価格の制限が存在しないため、買いと売りの注文が一致した価格で即時約定します。つまり、PTSでは「抽選により一部だけが買える」という場面は発生しません。
PTS取引の注意点
- 流動性が低い:板に厚みがない銘柄では、思った価格で取引が成立しにくい。
- 指値注文が中心:成行注文ができないこともあり、価格指定が必要。
- 証券会社により対応が異なる:PTS対応時間や手数料は各社で異なるため要確認。
よくある誤解:PTSでストップ高になった=比例配分がある?
この誤解は非常に多く見られます。PTSで株価が急上昇し、板が「買い一色」になっていると、まるで比例配分のように思えることがあります。しかし実際には、板に売り注文が存在しないために約定しないだけであり、比例配分が行われているわけではありません。
まとめ
PTSにはストップ高・比例配分といった取引所特有の制度は存在しません。買い注文が多すぎて約定しない場合も、それは制度上の制限ではなく、単に「売りがいない」からに過ぎません。PTS取引の特徴と制約を正しく理解したうえで、戦略的に活用しましょう。

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