つみたてNISAから新NISAへの移行に際して、多くの投資家が気になるのが「口座が分かれることによって複利効果に影響が出るのではないか?」という点です。確かに、制度変更によって資産が分散されると感じるかもしれませんが、実際の複利効果や運用パフォーマンスにどの程度影響があるのでしょうか。この記事では、制度の違いや資産運用への影響について具体的に解説していきます。
NISA制度の変遷と「口座が分かれる」背景
旧NISAやつみたてNISAでは、一定の非課税投資枠が設けられ、それぞれ別の制度として管理されていました。2024年からは新NISAが導入され、積立投資枠と成長投資枠の2階建て構造となり、制度上の統一が進みました。
ただし、旧制度の口座と新制度の口座は別管理されているため、証券会社の画面上では「複数口座」のように見える場合があります。しかしこれは物理的にお金が分かれているわけではなく、非課税枠が制度ごとに独立しているに過ぎません。
複利効果は「運用総額と時間」で決まる
複利の効果は、元本の大きさと運用期間、そして利回りの3要素に依存します。100万円を5%で運用し続けた場合、1年後は105万円になります。さらにその5%が再投資されていくことで、資産は雪だるま式に増えていきます。
ここで重要なのは、非課税口座が分かれていても、投資対象や運用戦略が変わらない限り、資産全体での複利効果に影響はないということです。例え旧NISAの口座と新NISA口座が別になっていても、合計200万円を5%で運用し続けていれば、200万円に対して複利が適用されます。
制度変更が与える心理的影響とその対策
制度変更によって「一からの積立」という印象を持つと、精神的には複利が断ち切られたように感じるかもしれません。しかし、金融商品やポートフォリオがそのままであれば、資産全体は引き続き複利で成長します。
むしろ注意すべきは、制度変更を機に「新しい制度だから別の投資を始めよう」と、リスクが異なる商品に切り替えてしまうケースです。これは複利効果を断ち切るどころか、資産のボラティリティを上げる要因にもなります。
「非課税枠の終了=複利の終わり」ではない
非課税期間が終了した後は、課税口座に移されることになりますが、そこで得られる運用益が課税対象になるだけで、複利運用自体は続けられます。すなわち、資産の増え方そのものが止まるわけではありません。
また、旧NISAのロールオーバー(非課税期間の延長)や新制度での非課税投資枠の再利用など、資産の一貫した管理が可能な制度設計になってきていることも見逃せません。
具体例で理解する:資産分散と複利効果
仮にAさんが2019年から旧つみたてNISAで100万円を積立て、2024年から新NISAでさらに100万円を積立てたとしましょう。両方を同じファンドで5%運用した場合、資産はそれぞれ別々に増えていくように見えますが、実際には。
- 旧NISA:100万円 → 約128万円(5年運用)
- 新NISA:100万円 → 約105万円(1年運用)
- 合計:233万円(複利運用中)
このように、投資資産の合計に対して複利が作用していると見るのが正解です。
まとめ:制度の分割は複利効果に直接影響しない
NISAの制度が変わっても、投資方針を変えず資産全体を捉えて運用すれば、複利効果は継続的に働き続けます。口座が分かれて見えることはあくまで「制度的な管理の都合」であり、投資家としては「資産全体での運用」を意識しておけば問題ありません。
今後制度が変わったとしても焦らず、投資戦略を維持することが、複利の恩恵を最大化する鍵となるでしょう。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
コメント