経済学では、市場における取引の効率性や社会的な影響を分析するために、消費者余剰や外部性といった概念が用いられます。本記事では、架空の町フービルとズラーブという飲み物の例を使って、消費行動とその社会的影響をどのように評価すべきかをわかりやすく解説します。
ズラーブの支払意思額と最適な消費本数
フービルの住民はズラーブという飲み物を次のような支払意思(限界便益)で評価しています。
- 1本目:5ドル
- 2本目:4ドル
- 3本目:3ドル
- 4本目:2ドル
- 5本目:1ドル
- 6本目以降:0ドル
ズラーブの市場価格は競争的供給者によって1.5ドルに設定されています。この価格のもとでは、住民は「限界便益 ≥ 価格」となる最大4本(2ドルまで)を消費します。
各本ごとの消費者余剰(支払意思 − 市場価格)は以下の通り:
- 1本目:5 − 1.5 = 3.5ドル
- 2本目:4 − 1.5 = 2.5ドル
- 3本目:3 − 1.5 = 1.5ドル
- 4本目:2 − 1.5 = 0.5ドル
これらを合計すると、消費者余剰は8ドルになります。
外部性:ズラーブ生産による社会的コスト
現実の市場では、取引当事者以外に影響を与える「外部性」という問題があります。ズラーブの生産には汚染が伴い、社会全体に悪影響(負の外部性)を与えると仮定します。
たとえば、1本あたりの環境汚染コストを1ドルとした場合、住民が4本消費すれば4ドル分の社会的コストが発生します。
この費用は住民が直接支払っているわけではありませんが、社会全体としては失われた福祉(社会的損失)と見なされます。
総余剰の意味と外部性を反映した再計算
総余剰(社会的余剰)とは、消費者余剰に生産者余剰を加え、さらに外部性を調整した概念です。本例では競争市場により生産者余剰はゼロと仮定できるため、
総余剰 = 消費者余剰 − 外部コスト
つまり。
- 消費者余剰:8ドル
- 外部コスト:1ドル × 4本 = 4ドル
結果として、1人あたりの総余剰は 8 − 4 = 4ドルとなります。
このように、消費者が得をしていても社会全体では損をしているケースがあり、それが外部性のもたらす問題です。
外部性があるときの最適消費量とは?
経済学では、外部性を内部化(取引価格に反映)させることで、より効率的な資源配分が可能になります。たとえば、汚染1ドルを課税により価格に上乗せした場合、ズラーブの価格は1.5ドル + 1ドル = 2.5ドルになります。
このとき支払意思(限界便益)が2.5ドル以上の本数は3本までとなり、消費本数が抑制されます。これは、社会的な最適水準に近づけるための政策手段(ピグー税)の例です。
まとめ:消費者余剰と外部性は経済学の基本原理
ズラーブの例は、経済学における消費者余剰、外部性、社会的余剰の関係を学ぶうえで非常に有用です。表面的な利益だけでなく、社会全体への影響も考慮したうえでの最適な資源配分を考えることが、経済政策の大きなテーマでもあります。
「安いからたくさん消費すればいい」ではなく、「その消費が誰かに悪影響を与えていないか?」を問う視点が、今後の持続可能な社会を築くうえで不可欠といえるでしょう。

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