経済学における供給曲線の傾きは、生産者の価格と数量の関係を表す重要な要素です。特に従価税(売上価格に対して一定の割合で課税される税)が導入された場合、その供給曲線の傾きにどのような変化が起こるのかを理解することは、価格政策や市場分析において極めて重要です。この記事では「従価税が課されると供給曲線の傾きがなぜ(1+T%)倍になるのか?」という疑問に対し、理論的な背景から具体的な数式・グラフ的理解まで、順を追って解説していきます。
従価税とは何か?
従価税とは、販売価格の一定割合を税として課す制度で、日本の消費税などがその一例です。たとえば販売価格が100円で、10%の従価税が課された場合、消費者が支払う価格は110円となります。このように、売価に比例する形で税が加算されるのが特徴です。
これに対し、定額で課税される「従量税」もありますが、本記事では従価税に焦点を当てていきます。
供給曲線と税の関係
通常、供給曲線は価格が上がると供給量が増える右上がりの関係を示します。企業にとっては、価格が高いほど利益が出るため、より多くの商品を供給しようとするわけです。
しかし、従価税が導入されると、売上から一定割合を納税しなければならないため、企業が受け取る「実質価格」が下がることになります。これは供給の動機を弱める要因になり、供給曲線に変化をもたらします。
傾きが(1+T%)倍になる理由
では、なぜ供給曲線の傾きが(1+T%)倍になるのでしょうか?数学的に見てみましょう。
供給者の立場から見ると、販売価格PにT%の従価税がかかると、実質的に受け取る金額はP/(1+T)となります。このような価格変化に応じて供給を決めるので、元の供給曲線S(p)があるとした場合、新たな供給関数Stax(P)は以下のように表せます。
Stax(P) = S(P/(1+T))
つまり、価格Pに対して元の供給関数における(1+T)分の1の価格で供給量を決めるという構造になります。これにより、供給曲線は水平方向に(1+T)倍圧縮された形になり、結果的に傾き(価格変化に対する供給量の変化率)が(1+T)倍になります。
図解で理解する:供給曲線の変形
たとえば、元の供給曲線がP = a + bQという一次関数で表される場合、従価税Tが導入されると、新しい供給曲線は以下のようになります。
P = (a + bQ)(1+T)
これはb(傾き)が(1+T)倍になることを示しています。直感的には、税がかかることで企業は同じ利益を得るためにより高い価格を要求するようになり、供給の応答性が低下する形になるのです。
政策的な示唆と経済への影響
このような供給曲線の変化は、市場全体にも影響を与えます。例えば、税導入により供給が縮小し、均衡価格が上昇する可能性があります。また、税率が高すぎると供給量が大きく減少し、市場の効率性が損なわれる懸念もあります。
そのため、従価税を導入する際には、その税率と供給への影響を丁寧にシミュレーションすることが政策立案者に求められます。
まとめ
従価税が供給曲線に与える影響として「傾きが(1+T%)倍になる」という現象は、企業が受け取る実質価格が低下することに起因します。数学的には、供給関数の引数がPからP/(1+T)に変換されることで、供給の応答性が変化し、曲線がより急になる=傾きが増すという結果に繋がります。
この知識は、税制設計や市場分析においても有用な視点となるでしょう。

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