トルコリラは長年にわたって下落を続けており、多くの投資家にとっては「底打ち」のタイミングが気になる通貨です。この記事では、トルコリラが本当に下げ止まったのかどうかを、経済指標や政策の動向、チャート分析などから総合的に検証します。
トルコリラ下落の背景:構造的な要因に注目
トルコリラの長期的な下落には、インフレの高止まり、経常赤字、政治的リスクなど複合的な要因が関係しています。特に注目すべきは、中央銀行の独立性が損なわれた時期における金利政策の混乱です。2021年から2023年にかけては、インフレ率が年率80%を超える局面もあり、通貨の信認が大きく損なわれました。
さらにエルドアン大統領による「利下げこそがインフレ対策」という異例の政策が続いたことが、トルコリラ安を一層深刻にした要因です。
2024年以降の政策転換:金融引き締めで変化の兆し
2023年後半以降、トルコ中銀は従来の緩和姿勢を転換し、急速な利上げに踏み切りました。2024年には政策金利が45%に達し、ようやくインフレに対応した「正常な金融政策」が再開されたと見る声もあります。
この金利政策の変更によって、外国人投資家がトルコ資産に再注目する動きもあり、リラの下落速度は確実に鈍化しています。これが「下げ止まり感」を生んでいる要因の一つです。
チャート分析:リラの対ドルレートに注目
対米ドルでのトルコリラは、かつて1ドル=1.5リラ(2008年頃)だったのが、2024年時点では1ドル=30リラを超える水準にまで下落しました。ただ、ここ数カ月間は30〜33リラの間で安定推移しており、テクニカル的にも一定の下げ止まりが見られます。
一方で、強い上昇トレンドに転じる兆候はまだ乏しく、「底打ち=反転」とは限らない点にも注意が必要です。
トルコ経済の見通し:回復には時間がかかる
2025年以降も高インフレと財政赤字は課題として残っており、構造改革が進まない限り、リラが継続的に買われる地合いはすぐには来ない可能性があります。観光収入や一時的な外貨流入により短期的には下支えされることもありますが、中長期的な信頼回復はまだ道半ばです。
一方で、現在の高金利政策が継続されれば、リラ資産の魅力がじわじわと高まり、ボラティリティは縮小する可能性があります。
投資家の対応策:ポジション管理と分散が鍵
トルコリラへの投資を考える場合、下げ止まり感に過信するのは禁物です。高金利通貨ゆえのスワップ収益には魅力がありますが、相場の急変にも備えたリスク管理が必要です。分散投資やストップロス設定、資金管理の徹底が重要です。
また、短期的な値動きよりも、中長期でのファンダメンタルズ改善を見極める視点が求められます。
まとめ:下げ止まりの兆しはあるが、慎重な姿勢が必要
トルコリラは過去のような急落局面から脱しつつあるものの、まだ不安定な要素が残る通貨です。確かに政策転換やチャートの安定感は「底打ち」の兆候といえますが、それをもって「安心」とするには早すぎる状況です。
リラに投資する際は、「高金利=チャンス」と捉えるだけでなく、リスクも含めた総合的な判断が求められます。下げ止まりの裏にある経済の実態を見極めることが、成功する投資への第一歩となるでしょう。

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