現在の日本の個人向け融資市場では、年利数%の低金利で融資を行う銀行と、年利15%前後の高金利を設定する消費者金融や街金との間に明確な金利差があります。この“中間層”を埋める中金利の金融機関があれば、多くの借り手にとって選択肢が広がるのではないかという意見も根強く存在しています。本記事では、中金利帯の金融機関が本当に必要か、そのメリット・デメリットを多角的に考察します。
なぜ中金利の金融機関が存在しないのか?
日本では貸金業法と利息制限法によって、融資金額に応じた上限金利が規定されています。銀行は主に信用スコアが高い層への貸付を中心に事業展開しており、金利はおおむね1%〜5%程度。一方、消費者金融は信用力が低い層にも貸付を行う代わりに、15%〜18%の高金利を設定しています。
中金利帯、つまり6%〜14%程度のゾーンが空白になっている理由は、信用力の評価が難しい層に貸すリスクに対して、その金利水準では割が合わないためとされています。
中金利層の存在意義:市場の“すき間”にあるニーズ
例えば、起業したばかりで実績が乏しい個人事業主や、過去に一度だけ信用事故を起こしたが現在は安定収入がある人などは、銀行では審査に通らず、かといって高金利の消費者金融では負担が大きすぎるというジレンマがあります。
このような層に向けた“セカンドチャンス型”の金融サービスとして、中金利の金融機関があれば、社会的包摂の観点からも有意義だといえるでしょう。
リスク管理と金利のバランス
金利設定は貸し倒れリスクと表裏一体です。リスクの高い層への貸付は、当然ながら貸し倒れリスクが上昇するため、それに応じた金利が必要となります。中金利に設定した場合、貸し倒れによる損失をどのように補填するのか、リスクヘッジの仕組みが求められます。
たとえば、AIを活用した新たなスコアリング技術や、信用保証会社との連携により、中リスク層を適切に分類・管理できれば、中金利の事業モデルは成立する可能性があります。
実現例:海外に見る“中金利金融”のケース
海外では、いわゆる「ノンバンク系フィンテック」が中金利帯のローンサービスを展開しています。米国のLendingClubや英国のZopaなどは、銀行に代わって個人間融資(P2P)を仲介し、中金利の貸付を実現しています。
日本でも近年、クラウドレンディングやP2Pレンディングサービスが徐々に浸透しつつありますが、法的規制の壁や与信評価の難しさから、本格的な拡大には至っていません。
中金利金融の可能性と課題
中金利金融が定着すれば、銀行に断られたが街金は避けたいという層にとって、救済的な役割を果たすことができます。また、社会的信用を回復するためのステップアップとしても機能します。
一方で、金融リテラシーが低い層が安易に借りすぎるリスクや、貸し倒れの集中による経営破綻など、慎重な設計と管理が不可欠です。
まとめ:市場ニーズはあるが慎重な設計が必要
中金利の金融機関には、現行の金融制度では拾いきれない層を支える可能性があります。社会的ニーズは明確に存在しますが、ビジネスモデルとして成立させるには、高度なリスク評価と法的整備、そして借り手の教育が不可欠です。
今後のフィンテックや信用スコア技術の進化と法制度の柔軟化が鍵を握るでしょう。

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