米国株の成長を信じ「SBI・V・S&P500」に集中投資してきた方が、今注目の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」に乗り換えるべきか悩むのは、ごく自然なことです。特に退職後の資産活用フェーズを見据える中で、投資先の地域分散やボラティリティの違いは重要な判断材料になります。
SBI・V・S&P500とオルカン、それぞれの特徴を比較
SBI・V・S&P500は米国の代表的な500社に分散投資するインデックスファンドで、特にハイテク企業を中心に成長性が期待される商品です。一方、eMAXIS Slimオルカンは、全世界(先進国+新興国)に広く投資しているため、地政学リスクや特定地域依存の回避に優れています。
たとえば、米国の成長が鈍化した場合でも、オルカンであればヨーロッパやアジア新興国が相殺してくれる可能性があります。これは分散投資の最大の利点です。
信託報酬の違いと資産規模から見る優位性
2025年現在、信託報酬は以下の通りです。
- SBI・V・S&P500:約0.0938%
- eMAXIS Slimオルカン:約0.05775%
一見すると大差がないように感じますが、例えば5,000万円規模で長期運用する場合、数十万円単位で差が出てくる可能性があります。ただし、それ以上に重要なのは価格変動リスクに対する考え方です。
60代からの資産活用に向けた視点
60歳を迎え、これからは「貯める」より「使う」フェーズが始まります。資産の取り崩しを前提とした場合、米国1国に集中していると、タイミングによっては大きな資産減少リスクを抱えることになります。
そのため、オルカンのように複数地域へ分散投資することで価格の安定性を得るという選択肢は合理的です。特に20〜25年という運用期間を想定しているなら、長期的な成長と安定を両立させる運用方針が求められます。
含み益を抱えた状態での乗り換えはどう判断すべきか
特定口座に保有している投信を乗り換えると、譲渡益課税(約20.315%)が発生します。含み益が大きい場合は、すぐに一括で売却・乗り換えをするよりも、年次で分割してスイッチングを検討することが税務上も有利です。
例えば、2025年に1,000万円だけ売却してオルカンに乗り換え、翌年また1,000万円…と段階的に移すことで課税負担を平準化できます。
どちらも優れた投信。だからこそ「どう使うか」が重要
結論として、どちらの商品も優れた投信であることに変わりはありません。ですが、今後の使い方を考慮すれば、より分散性に優れたオルカンへの一部乗り換えは理にかなった判断です。
たとえばS&P500で3,000万円、オルカンに2,000万円という形で併用し、将来的に全額オルカンに切り替えるといった戦略も柔軟でおすすめです。
まとめ:リスク分散と資産活用を見据えた「戦略的な見直し」もアリ
・SBI・V・S&P500は成長性重視、オルカンは安定性・分散性が魅力
・年齢・資産規模を踏まえ、資産活用フェーズでは分散が鍵
・課税を意識して段階的なスイッチングが有効
・一銘柄主義でも、柔軟に運用方針を見直すことで資産を守りながら活用できる
60代からの運用は、増やすだけでなく「減らさない」「使いやすい」も重要なテーマです。長期投資の出口戦略として、投資信託の選び方を見直すタイミングかもしれません。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
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