物価上昇が続くなか、定年後や退職を見据えた資産運用において、インフレ対策は極めて重要なテーマです。特にリスクを抑えつつ実質的な資産価値を守りたい60代にとって、「個人向け国債」と「物価連動国債投信」は有力な選択肢となります。この記事ではそれぞれの特徴やメリット・デメリットを比較しながら、年齢やリスク許容度に応じた資産戦略を考察します。
個人向け国債と物価連動国債の基本的な違い
個人向け国債(変動10年)は、金利が市場の動きに応じて変動するもので、最低金利0.05%が保証されており、元本保証もあります。一方、物価連動国債投信(例:eMAXIS 物価連動国債)は、物価の上昇に応じて実質利回りが変動する国債を組み込んだ投資信託で、価格変動リスクがあります。
個人向け国債は安定性重視、物価連動債投信は実質的なインフレヘッジを重視した運用に向いています。
それぞれのリスクとリターン
個人向け国債は元本が保証されており、最低利率も設定されているため、資産保全を第一に考える方には安心感があります。ただし、インフレ時に金利上昇が緩やかで、実質的な購買力が目減りする可能性があります。
一方、物価連動国債投信はインフレに応じて資産価値が上がる設計ですが、価格は市場で決まるため基準価額が下がることもあります。投資信託である以上、運用管理費用(信託報酬)も発生します。
ビルディングブロックアプローチとの関係
「ビルディングブロックアプローチ」は、リスクプレミアムや期待インフレ率を考慮して資産価格を決定する理論であり、特にインフレ期待がある局面では物価連動債の価値が相対的に高まるとされます。
したがって、リスクプレミアムをある程度許容できる場合、物価連動債をポートフォリオに組み込むことは合理的といえるでしょう。
60代におすすめのインフレ対策の組み合わせ
退職世代にとっての最優先は「資産の保全」と「安定したキャッシュフローの確保」です。したがって、以下のようなバランスを検討するとよいでしょう。
- 個人向け国債(変動10年)を主軸にして、安定資産として保有
- 物価連動国債投信をサテライト的に5〜15%程度保有し、インフレヘッジ
- その他、物価上昇に強い資産(インフラREIT、生活必需品セクター株)を一部加える
リスク分散とキャッシュフロー確保を両立させるポートフォリオ構成が重要です。
実際の活用例と注意点
実例として、2023年から2024年にかけてインフレ率が高止まりした時期、eMAXIS物価連動国債ファンドは堅調な推移を見せました。ただし、2025年初頭には金利上昇観測で一時的に基準価額が下落する局面も見られました。
こうした変動が気になる方は、購入タイミングを分散する「ドルコスト平均法」や、定期積立を利用することでリスクを緩和できます。
まとめ:インフレ時代の60代資産戦略
インフレが続くなか、60代の方にとっては「安全性」と「購買力維持」のバランスを取ることが極めて重要です。個人向け国債は守り、物価連動国債投信は攻めの役割を担う資産として位置づけ、ライフステージに合った資産配分を心がけましょう。

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