国際収支について学ぶ際に、なぜ経常収支に貿易、サービス、第1次所得、第2次所得収支が含まれ、資本移転等収支と金融収支が独立しているのかは理解しづらい部分です。この記事では、この質問に答える形で、国際収支の仕組みとその分類について説明します。
国際収支の基本構造
国際収支は、ある国が他国と行った取引を記録したものです。大きく分けて「経常収支」と「資本・金融収支」の2つに分かれます。経常収支は、その国が商品やサービスを取引し、所得を得ることに関するものです。一方で、資本・金融収支は、資産の取引や投資に関するものです。
経常収支の内訳
経常収支には4つの主要な項目があります。これには、貿易収支(商品輸出入)、サービス収支(観光や輸送サービス)、第1次所得収支(外国から得た利子や配当)、第2次所得収支(送金など)が含まれます。これらは、国の経済活動によって直接生じる取引を反映しており、商品の取引や労働・資本の移動が基本です。
経常収支の項目は、一般的にその国の経済の実態に即した取引を反映するものなので、常に結びついています。このため、経常収支として一括して記録されます。
資本移転等収支と金融収支の独立性
一方、資本移転等収支と金融収支は、基本的に「投資」の側面に関するものです。資本移転等収支は、政府間の援助や債務の放棄など、資本の移動を記録します。金融収支は、株式や債券、銀行預金など、金融資産の取引に関連するものです。
これらは経常収支とは異なり、国の内部の物理的な商品やサービスの取引とは無関係に、金融資産や投資の動きが影響を与える項目です。したがって、経常収支とは独立して記録されます。
なぜ異なる分類がされるのか?
経常収支は国の経済の実態、すなわち、モノやサービス、所得のやり取りを反映しているため、企業や個人が実際に行う経済活動に基づいています。これに対して、資本移転等収支や金融収支は、国の資産や負債、投資に関連するものであり、経済の「動き」ではなく、「ストック」に関する取引であるため、別のカテゴリーに分けられています。
そのため、経常収支は「実体的な経済活動」に基づいており、資本移転等収支と金融収支は、金融取引や投資、資本移動といった「資産の変動」に関連するものとして独立しているのです。
まとめ
経常収支と資本・金融収支の違いは、扱う取引の内容によるものです。経常収支はモノやサービス、所得のやり取りに関わる項目で、国の実態経済を反映します。一方、資本移転等収支と金融収支は、国際的な投資や資産の移動に関するものです。この違いを理解することで、国際収支の仕組みをより深く理解することができます。

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