株式投資において、現物取引を繰り返すと混乱しがちなのが「平均取得単価」と「実現損益」の関係です。特に同じ銘柄を短期間で何度も売買した場合、「利益が出ているはずなのに評価はマイナス?」「なぜ平均取得単価が上がっているの?」といった疑問が生じます。今回はこうした誤解を解き明かします。
平均取得単価とは何か?
「平均取得単価」とは、現在保有している株式の平均購入単価を示すものです。複数回に分けて株を購入した場合、それぞれの買値を数量加重平均して算出されます。
例えば、13500株を91円で買った後、さらに100円で13500株買い増したとすると、平均取得単価は(91円×13500 + 100円×13500)÷27000株 = 約95.5円となります。
売却による実現損益はどう計算されるか
実現損益は、「売却価格」から「売却された株に対応する取得単価」を引いて算出されます。証券会社では一般的に「移動平均法」または「個別対応法(特定口座など)」が使われ、先に買った株から順に売却されていくケースがほとんどです。
例として、前日に91円で13500株購入→94円で全株売却すると、(94円 – 91円)×13500 = 40,500円の利益が発生します。ただし、その日中に新たに100円で13500株を購入した場合、この取引は「新たなポジション」となり、その時点の平均取得単価に影響します。
「利益が出たのに評価がマイナス」に見える理由
この状況で「評価損益」がマイナスになっている理由は、今保有している株の取得単価(例:100円)よりも、現在の株価が下がっているためです。つまり過去に得た利益とは無関係に、今の保有ポジションの含み損が発生しているという意味になります。
また、証券口座の実現損益に「源泉徴収あり」と表示されているのは、過去の利益に対する税金(約20.315%)が自動で差し引かれているだけで、損失を意味するわけではありません。
損益の把握に役立つ具体的な確認ポイント
- 過去の売買明細を見て、売却価格と対応する買付価格をチェック
- 「実現損益」は完了した売買の利益、「評価損益」は現在の含み損益
- 平均取得単価は新しい購入によって更新され、過去の売却には影響しない
このように、混乱の元は「今あるポジションと過去の利益を同時に見てしまうこと」にあります。
税金の扱いと利益確定の注意点
特定口座(源泉徴収あり)であれば、売却益に対して自動で税金が引かれる仕組みになっています。たとえば40,500円の利益であれば、約8,235円が税として差し引かれ、残りが口座に反映されます。
その後すぐに再投資(100円で買い直し)したことで、再び高値でポジションを取り直しており、その結果含み損が出ていると判断されている可能性があります。
まとめ:数字の意味を正しく理解して不安を解消しよう
今回のように、「利益を出したはずなのに平均取得単価が上がって評価損になっている」というのは、証券会社のシステム上の表示ロジックによるものです。過去の実現利益と現在の保有株の評価損益は完全に別物であり、それぞれを切り分けて考えることが大切です。
株式投資では、表示の意味を正しく理解することで無用な不安や誤解を避けることができます。初めは戸惑うことも多いですが、明細を確認しながらひとつずつ慣れていきましょう。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
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