「オルカン(オール・カントリー)」と呼ばれる全世界株式インデックスファンドは、日本でもつみたてNISAの人気商品として多くの投資家に選ばれています。では仮に、多くの人がオールカントリーを買った場合、本当に株価が上がるのでしょうか?この問いは一見単純に見えて、投資信託と市場構造を理解するうえでとても本質的です。この記事では、オールカントリーの仕組みと市場への影響について、初心者にもわかりやすく解説していきます。
■ そもそもオールカントリーとは何か?
オールカントリー(正式には「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」など)は、世界中の株式市場に広く分散投資するインデックスファンドです。MSCI ACWI(先進国+新興国)という指数に連動し、アメリカ、日本、ヨーロッパ、新興国の大型株などが幅広く含まれています。
このファンドを購入すると、世界中の数千銘柄に間接的に投資することになります。つまり「オールカントリーを買う=世界中の株式を少しずつ買う」ことと同じです。
■ ファンドを買うと株式市場にどう影響する?
投資信託を買うと、そのお金は運用会社を通じて市場に流れ、指数に連動する形で個別株の購入に充てられます。したがって、多くの人がオールカントリーを買えば、そのファンドに組み入れられている株に実際の買い注文が入るため、一定の買い圧力になります。
ただし、ファンドの規模や市場全体の流動性を考慮すると、「みんなが買ったから株価が常に上がる」という単純な構図にはなりません。たとえば、アップル株やマイクロソフト株のような時価総額が大きい銘柄は、多少の資金流入では株価に大きな影響を及ぼしません。
■ 「買えば株価が上がる」は本当か?
短期的には、投資信託への資金流入が個別株の買いを促し、株価が上がる要因となることもあります。2020年以降の米国株ブームでは、S&P500連動型ETF(VOOやSPY)などの買いが集まり、構成銘柄の株価を押し上げる効果も指摘されました。
ただし、市場は需給だけでなく企業業績や金利、地政学リスクなど様々な要因に影響されるため、「オルカンが買われているから株価が上がる」とは限りません。
■ 実例:日本でのオルカン人気と市場反応
2023年からの新NISA制度開始により、オールカントリーの純資産額は急増しました。個人投資家の長期投資先として最も選ばれているファンドの1つとなり、純資産は1兆円を超えています。
しかし、オールカントリーの影響力が大きくなったとしても、それはあくまで「間接的な買い」であり、世界市場に与える影響は限定的です。構成銘柄である米国株の価格形成は、機関投資家やヘッジファンドなどの影響がはるかに大きいのが実情です。
■ インデックス投資が市場をゆがめる?
一部の専門家の間では「インデックス投資の急増が価格形成をゆがめる」という指摘もあります。これは「売買の判断をしないインデックス投資が、需給バランスを崩す」という理屈です。
とはいえ、現在でもアクティブ運用や個別投資が市場の大半を占めており、インデックス投資の存在が過度に株価を押し上げるほどではないというのが多数派の見方です。
■ まとめ:オルカン人気=株価上昇ではないが、需給に影響はあり
・オールカントリーを多くの人が買えば、そのファンドの構成銘柄に買い圧力がかかる
・とはいえ、株価は多くの要因で決まるため、それだけで株価が上がるとは限らない
・短期的には影響が出ることもあるが、中長期では企業価値や金利動向が重要
・インデックス投資の拡大が市場を大きく動かすには、さらなる規模拡大が必要
つまり「みんながオルカンを買ったら株価が上がる」は“半分本当、半分誤解”とも言えるテーマです。大切なのは、投資信託の仕組みや市場全体の構造を理解した上で、冷静な視点で資産運用を行うことです。

こんにちは!利益の管理人です。このブログは投資する人を増やしたいという思いから開設し運営しています。株式投資をメインに分散投資をしています。
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