株式投資において「配当」は重要な収益源とされますが、必ずしも高配当銘柄が高評価を得るとは限りません。むしろ、配当性向が控えめであっても高い株価を維持する企業が存在します。本記事では、任天堂やファーストリテーリング、ソニー、日立製作所など東証プライムに上場する大型企業が、なぜ“配当がごみ同然”と揶揄されながらも高株価を維持できるのかを、実例をもとに解説します。
株価は配当だけで決まらない:企業価値の本質
株価は将来の利益や成長性を織り込む形で形成されます。つまり、将来のキャッシュフロー(利益)に対する市場の期待が株価のベースになるため、目先の配当よりも中長期的なビジネス展望が重視されます。
たとえば、任天堂は配当利回りが1%前後と低めですが、ゲーム機やIP(知的財産)展開の収益性、そして莫大な内部留保を背景に市場から高い成長期待を集めています。
企業の成長力とブランド力がもたらす株価プレミアム
ファーストリテーリング(ユニクロの運営会社)も配当政策が控えめですが、国内外の高成長戦略やブランド価値、サプライチェーンの優位性によって高い評価を得ています。PER(株価収益率)が高くても、それが投資家の期待値を反映している限り、高株価を正当化できるのです。
ソニーもエンタメ・半導体・金融といった複数事業の成長が期待されており、キャッシュの分配(配当)よりも事業投資を優先するスタンスが株価にプラスに作用しています。
内部留保と株主還元のバランス戦略
企業が利益をすべて配当に回すのではなく、成長投資や研究開発、M&Aの原資として内部留保する戦略は、結果的に企業価値を高め、長期的に株主に利益を還元することにつながります。
日立製作所は、数年前までは重厚長大な企業というイメージでしたが、事業再編とデジタル領域への投資を進めることで、成長株として再評価されてきました。配当よりも成長戦略に市場が注目している好例です。
世界の投資家の視点:配当よりEPSとROE
特に外国人投資家は、配当よりもEPS(1株当たり利益)やROE(自己資本利益率)を重視します。高ROE・高EPSを実現できている企業は、資本効率の良さが評価され、配当利回りが低くても買われる傾向があります。
三菱重工業は、防衛・宇宙・脱炭素関連といった成長テーマに絡んでおり、長期的な収益性と国家規模のプロジェクトに参画できる技術力が株価を支えています。
配当利回りに固執する危険性
高配当株ばかりを重視すると、成長余地が乏しい企業や構造的な衰退業種に投資してしまうリスクもあります。実際、業績が横ばいまたは縮小傾向でも高配当を維持している企業は、株価が下落し続けて結果的にトータルリターンで損をするケースも見られます。
バリュー投資とグロース投資のバランスを取り、配当と企業の成長性の両面を見ることが健全な投資判断につながります。
まとめ
東証プライムの企業が配当利回りが低くても高株価を維持できるのは、企業の成長性・収益力・ブランド力・グローバル展開などに基づく将来の期待が織り込まれているためです。短期的な配当利回りだけで企業価値を判断せず、中長期的な企業の成長ビジョンと財務健全性を総合的に評価する視点が投資家には求められます。

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