バフェット流投資と『証券分析 第6版』の関係──本当に読まれているのか?

資産運用、投資信託、NISA

ウォーレン・バフェットの名前は、投資の世界で知らない人がいないほど有名です。そして彼の投資哲学の源流ともいえるのが、ベンジャミン・グレアムの名著『証券分析』です。特に第6版は長期投資家にとってバイブル的存在と言われますが、実際のところ、その分厚い内容を通読している人はどれほどいるのでしょうか?この記事では、バフェット流を標榜する個人投資家の実態と、証券分析がどのように読み解かれているかを探っていきます。

バフェットが絶賛した『証券分析』とは

『証券分析』(Security Analysis)は、1934年に初版が出版された投資理論の古典で、著者はベンジャミン・グレアムとデビッド・ドッドです。企業価値を数値で評価する「ファンダメンタル分析」の基礎を築いた書籍であり、バフェットはこの本を「すべての投資書籍の中で最も影響を受けた」と語っています。

第6版は最新のアップデートが加えられつつも、原典の理論的骨格を維持しており、初心者にはやや難解ですが、真の価値投資家にとっての指針となります。

なぜ第6版は「読破」が難しいのか

まず圧倒的なボリューム──日本語版で800ページ超という厚さに加え、経済・会計・金融理論の高度な知識が前提となる構成です。通読にはかなりの集中力と背景知識が必要で、表面的に読むだけでは理解できない内容が多いです。

一方で、全体を通して読むのではなく、特定の章やケーススタディだけを参照する投資家も少なくありません。たとえば「安全域」や「収益性の定義」に関する章だけを重点的に読み込むスタイルも実用的です。

バフェットフォロワーの読書事情

実際にバフェットスタイルを真似しているという個人投資家の中でも、『証券分析』第6版を通読した人はごく一部です。SNSや投資ブログ、YouTubeチャンネルなどを調査すると、読破したと公言している人は全体の1~2割程度という印象です。

ただし、代替的に『賢明なる投資家(The Intelligent Investor)』を読んだうえで、「証券分析」に書かれているエッセンスを間接的に理解しているという人は多く見受けられます。

読まれなくても投資はできる?

現代では情報発信の手段が増えたこともあり、『証券分析』の要点は多くの解説書やウェブ記事、動画でかみ砕いて紹介されています。実際に投資成果を出している人の中でも、原著を読んでいないが、間接的に理論を理解しているというケースは珍しくありません。

例えば、ROEやPERなどの指標を使って株を評価する手法は、まさにグレアム理論の実践例であり、これを基礎としたETFやスクリーニングツールも広く利用されています。

読む価値はあるのか?

『証券分析』第6版は確かに難解ですが、その内容には時代を超えた普遍性があります。特に「価値」とは何か、「リスク」とは何かといった問いに対する深い考察は、現在のAI主導の相場環境においてもなお参考になる視座を提供します。

投資スタイルを確立したい中・上級者にとっては、通読しなくても一読の価値がある一冊です。

まとめ:投資哲学は人それぞれ、だが基礎を知ることに意味がある

『証券分析』第6版を読んでいる投資家は少数派ですが、それが直接的に投資の優劣を分けるわけではありません。しかし、バフェット流を目指すならば、彼の思想の源流を知ることで理解はより深まります。

全編を読むことにこだわる必要はなく、自分にとって必要な知識を取捨選択しながら投資スタイルを磨いていくことが、真の「長期投資家」への第一歩です。

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