不況でも金利は上がるのか?個人向け国債と“高金利”のリスク戦略を読み解く

資産運用、投資信託、NISA

近年、経済の先行きが不透明な中で「国家破産リスク」や「将来的な高金利」を見据えて個人向け国債に投資する人が増えています。果たして不況下でも金利は上がるのでしょうか?また、個人向け国債はこうしたシナリオにどう対応する商品なのでしょうか。本記事では、経済と金利の関係を整理しつつ、個人が取るべきリスク戦略について具体例を交えて解説します。

個人向け国債とは?安全性と金利の仕組み

個人向け国債は、国が発行する個人投資家向けの債券で、元本保証があり、安全性の高い投資先として知られています。変動金利型10年、固定金利型5年・3年などの種類があり、特に変動金利型では市場金利に応じて利率が変動するため、将来的な金利上昇に備える目的で購入する人も多いです。

金利が上昇すれば利子も上がるため、インフレや金利上昇局面における「防衛策」としても活用可能です。ただし最低金利(0.05%など)が設定されており、デフレやゼロ金利の時期にはほとんど増えない点に注意が必要です。

不況=低金利とは限らない?スタグフレーションの可能性

通常、不況時には景気刺激策として中央銀行が金利を下げる傾向にあります。しかし「スタグフレーション(景気停滞+インフレ)」のようなケースでは、不況下でも物価が上がり、それに対応して金利が上昇する可能性があります。

実際、1970年代のアメリカではオイルショックをきっかけにスタグフレーションが発生し、政策金利は20%近くまで引き上げられました。このようなケースでは国債の変動金利型が有利に働く可能性があります。

国家破産に賭ける投資は成り立つのか?

日本のような自国通貨建てで国債を発行している国では、理論上「デフォルト(債務不履行)」のリスクは低いとされます。なぜなら日銀が国債を買い支えることで、資金調達が可能だからです。

ただし、極端な財政悪化やインフレ抑制の失敗などで市場の信認が失われれば、金利は急上昇し、実質的に“国家破産的状況”に陥る可能性もゼロではありません。その際には国債価格の暴落、円安、インフレなどが連鎖的に起こり、個人向け国債の価値も見直されるでしょう。

うまく逃げられるか?投資家にできること

「高金利が来たら逃げ切れるか?」という問いに対しては、答えは「戦略次第」です。個人向け国債は中途換金が可能で、発行後1年を経過すれば元本割れせずに解約できます(一定の利子控除あり)。

つまり、金利上昇前に購入しておけば、後から上昇した利率を享受しつつ、さらに他の資産へ移動することも選択肢となります。ただし、金融市場の変動は予測不能な部分が多く、柔軟に資産を分散する姿勢が大切です。

まとめ:金利変動と国債のリスクに備える知識を持つ

「不況でも金利が上がる可能性」は確かに存在します。特にインフレと景気低迷が同時に来るスタグフレーションのリスクは、個人投資家にとって無視できません。

個人向け国債は安全資産として機能しつつ、高金利時には一定の保険となる資産でもあります。ただし、過信せず、常に情報を更新しながら柔軟なポートフォリオ運用を意識することが、長期的な資産防衛には欠かせません。

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