安全資産として人気の高い国債ですが、途中で解約(中途換金)した場合に元本割れする可能性があることをご存知でしょうか?この記事では、個人向け国債の中途解約による損失の仕組みや、現在の金利環境・今後のトレンドを踏まえたリスクについてわかりやすく解説します。
個人向け国債の中途解約は可能だが注意が必要
個人向け国債(変動10年・固定5年・固定3年)は、原則として発行から1年経過すれば中途換金が可能です。ただし、中途換金時には直前2回分の利子相当額が差し引かれるというペナルティがあります。
例えば、利率が年0.2%の固定3年国債を中途解約する場合、実質的にその0.2%×2回分=0.4%が解約時に差し引かれるため、元本割れの可能性が生じるのです。
金利上昇局面では既発債が不利になる
国債は、購入時点の金利が固定される仕組みのため、その後に市場金利が上昇すると、新発債の方が高い利回りになり、既発債の価値が下がるという現象が起きます。これが「金利と債券価格は逆に動く」原則です。
金融機関などに売却する「市場取引債」であれば、金利上昇時には時価が下がるため、損失が顕在化しますが、個人向け国債は満期保有で元本保証されます。ただし、中途換金時には上記のペナルティがあるため、金利上昇局面で安易に換金すると損失リスクが高まります。
実際に損失が出るケースとは?
たとえば、2023年に年0.05%の金利で購入した個人向け国債を、2025年に中途換金した場合、その間に金利が上昇していたとすると、新規購入よりも明らかに利回りの低い既発債を保有し続けることになり、かつ解約時には利子相当額が差し引かれるため、実質損失が生じます。
一方で、金利が下がる局面では逆に既発債の魅力が高まり、保有継続が有利になる場合もあります。
今後の金利トレンドと国債戦略
2024年末から2025年初頭にかけて、日本銀行はマイナス金利政策の解除を進め、金利上昇が現実的なテーマとなっています。これは個人向け国債の購入タイミングや解約判断にも大きく影響します。
今後数年は金利上昇が続く可能性があるため、低金利で購入した既発債の中途換金には注意が必要です。特に、生活資金を一部国債に預けている人は、いざというときに損を出さないためにも満期まで保有する前提で計画を立てることが重要です。
損失回避のために意識したいこと
- 1年以上保有してから換金する(中途解約は1年未満不可)
- 急な出費に備えた資金は別途確保(予備資金は流動性の高い預金等で管理)
- 金利の動向をチェック(特に日銀政策や米国金利が影響)
- 高金利局面での再投資チャンスを見極める
まとめ:国債の中途解約は慎重に判断しよう
国債は安全性の高い資産ですが、中途解約には利子相当額の差引や金利変動による実質損のリスクが伴います。特に今後の金利上昇が見込まれる中では、既発債の解約は慎重な判断が必要です。満期までの保有を基本とし、生活設計に支障が出ないよう、資金配分のバランスをとることが賢明です。

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