NISAのロールオーバーと移管後の取得単価の考え方|非課税期間終了後の損益計算で困らないために

資産運用、投資信託、NISA

つみたてNISAや一般NISAなど、税制優遇のある制度を活用して資産形成を進めている方にとって、「非課税期間終了後の扱い」は重要なテーマの一つです。特に一般NISAでは5年間の非課税期間終了後、ロールオーバーや特定口座への移管が選択肢となりますが、その後の取得単価がどう扱われるのかは意外と知られていません。本記事では、ロールオーバーのタイミングや、移管後の損益計算に使う“買値”の扱いについてわかりやすく解説します。

NISA口座における「買付日」と非課税期間の関係

まず前提として、一般NISAにおいて非課税期間の起算日は「買付日」ではなく、その年の「1月1日から起算して5年間」です。つまり、12月に買付を行っても、非課税期間はその年の1月からスタートし、同年を含めて5年目の12月末で終了します。

例:2020年12月に買付した場合でも、非課税期間は2020年1月〜2024年12月末までです。

ロールオーバーのタイミングと仕組み

非課税期間終了時には、保有資産を翌年のNISA枠に“移管”することで、さらに5年間の非課税期間を得ることができます。これを「ロールオーバー」と言います。

ロールオーバー日は、その非課税期間の終了する年の12月末が基準です。買付月や日付に関係なく、「その年のNISA口座」としての枠で管理されているため、ロールオーバーも年単位で判断されます。

ロールオーバーしない場合の流れと特定口座への移管

ロールオーバーを選ばなかった場合やNISA枠が足りなかった場合、保有していた株式や投資信託は「課税口座(通常は特定口座)」へ移管されます。移管された後は、通常の売却益に対して課税対象となります。

このとき気になるのが、移管後に売却する際の「取得単価(買値)」ですが、課税口座へ移された際の「時価(移管日の終値)」が取得単価として扱われます。

実例:NISAから移管された株を売却したケース

たとえば、2020年にNISAで1000円で購入した株が、2024年末時点で1500円だったとします。ロールオーバーせずに特定口座へ移管された場合、1500円が「取得価格」となります。

その後2025年に株価が1800円で売却された場合、課税対象となる売却益は「1800円 − 1500円 = 300円」となり、この300円に対して約20.315%の税金がかかります。

一方で、もし移管時の1500円より下落して1300円で売却した場合は、200円の損失として他の利益と損益通算や繰越控除の対象になります。

ロールオーバーと課税口座移管、どちらが有利?

ロールオーバーの判断は「その時点での含み益・損」と「翌年の非課税枠の使い方」によって異なります。ロールオーバーをすると翌年のNISA枠を消費するため、新規購入ができる金額が減ります。

特定口座に移しても、移管時点での評価額が“新たな取得単価”となるので、将来的に損益通算や節税を意識した取引をしたい人には有利な場合もあります

まとめ:NISA終了後の売却損益は「移管時の時価」が基準

NISA口座から特定口座に移された際の取得単価は「買付価格」ではなく「移管時の時価」で計算されます。これを知らずに税金を多く支払ってしまうケースもあるため、移管タイミングやロールオーバーの判断は慎重に行うことが重要です。

制度のルールを正しく理解し、将来の売却時にも備えておくことで、NISAのメリットを最大限に活かすことができます。

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