フードロス(食品ロス)の削減は環境負荷の軽減や倫理的観点からも注目されていますが、経済に与える影響についても理解が必要です。今回は「フードロスがゼロになった場合、日本経済にどのような損失や変化が起きるのか」について解説します。
日本のフードロスの現状と経済規模
日本国内で発生する食品ロスは年間約522万トン(2021年度、農林水産省)とされています。このうち、事業系が約275万トン、家庭系が約247万トンです。金額に換算すると、年間約6兆〜7兆円程度の経済規模になると推定されます。
つまり、フードロスの削減は一見「無駄の排除」に思えますが、その“無駄”が経済活動の一部を構成しているという側面もあります。
フードロス削減の経済的メリット
まず、フードロスが削減されることで得られる経済的メリットも大きいです。
- 廃棄コスト(処理費・輸送費など)の削減
- 家庭や企業の食費・原材料費の節約
- 環境対策コストの低減(二酸化炭素排出など)
また、企業はフードロス削減を通じてブランド価値やSDGsへの取り組み姿勢をアピールできるという間接的な利益も得られます。
フードロスゼロの経済的デメリット
一方で、すべてのフードロスをゼロにすることには経済的な「損失」や「負のインパクト」も考えられます。
- 生産・流通・販売業者の売上減少
- 食品廃棄関連産業(廃棄処理、リサイクルなど)の縮小
- 在庫リスクを嫌う販売現場での品切れ増加と消費者満足度の低下
例えば、スーパーで商品が売れ残るリスクを避けて仕入れを減らすと、製造・卸・農業・物流にも連鎖的な影響が及ぶ可能性があります。
「フードロスゼロ」は現実的か?
現実的には「ゼロ」は困難です。賞味期限切れ、包装不備、自然災害など、完全に防ぐのが難しい要因が多く存在します。
そのため、実際には「ゼロを目指しつつ、効率的な削減を目指す」ことが現実的です。例えば、食品の寄付活動(フードバンク)やリパック販売などの中間的な取組が推奨されています。
実際の経済損失試算:ゼロ達成時の影響額は?
仮にフードロスゼロにより約7兆円相当の食品流通が消失した場合、関連業種全体ではGDPへの影響が10兆円近くに及ぶ可能性もあります。ただしこれは直接的な売上減だけでなく、雇用や付加価値を含めた推定です。
一方、政府はフードロス削減によって年間1兆円以上のコスト削減と環境負荷の大幅な軽減が可能だと見積もっており、長期的にはメリットが上回る可能性もあります。
まとめ:バランス重視のフードロス削減がカギ
フードロスをゼロにすることは理想的ですが、日本経済全体にとっては急激な転換はリスクを伴います。重要なのは「環境・社会・経済のバランスを取りながら持続可能な削減を進めること」です。
企業や個人ができる小さな取り組みの積み重ねが、最終的には大きな変化をもたらします。食品の購入・消費・廃棄の意識を少し変えるだけでも、経済にも社会にも良い影響を与えることができます。

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