株式市場では、企業の経営戦略の一環として行われるTOB(株式公開買付)に注目が集まることがあります。とくに保有株にTOBがかかっている場合、「市場で売るべきか」「TOBに応募すべきか」「指値注文は成立するのか」など、多くの投資家が悩むポイントです。この記事では、TOB中の指値注文や売却判断について、住信SBIネット銀行を例に解説します。
TOB(株式公開買付)とは何か?
TOB(Take Over Bid)とは、買付者が不特定多数の株主に対して、一定の条件(買付価格、期間、株数など)で株式を買い取ることを目的とする制度です。通常の市場取引とは別に、証券会社を通じて応募する必要があります。
たとえば、住信SBIネット銀行株に4900円のTOB価格が提示されている場合、それを超える価格(例:5000円)で市場に指値注文を出しても、TOB価格を超える市場価格では買い手が現れにくくなるため、売買が成立しない可能性が高いです。
TOB期間中に指値注文は可能だが注意が必要
TOB実施中も市場取引は原則として継続されるため、5000円での指値注文を出すことは可能です。ただし、市場価格がTOB価格である4900円前後に張り付いている場合、5000円の注文は「高すぎる」と判断されて約定しないリスクが非常に高いです。
これは、投資家の多くが4900円のTOBに応募することで、売り圧力が低下し、価格が4900円近辺で固定される傾向にあるためです。
TOBに応募するか、指値売却を狙うかの判断ポイント
TOBに応じるかどうかは、以下のような観点から判断されます。
- 市場価格がTOB価格を大幅に上回る見込みがない
- TOBに応じることで確実に現金化できる
- TOB終了後に上場廃止や流動性低下の懸念がある
一方、「上場廃止までに再上昇が見込める」などと考える場合は、5000円などの高めの指値を置いておく戦略もありますが、約定の見込みは低くなります。
TOBと通常売却の税制上の違いにも注意
TOBで売却した場合、通常の証券口座を通じた市場売却とは異なり、「譲渡益課税」だけでなく、「配当所得」として課税されるケースもあります。特定口座の源泉徴収方式では、TOB応募による売却は年末調整の対象外になるため、確定申告で損益通算が必要になる可能性があります。
税務面まで含めてトータルの損益を考えると、TOBと市場売却どちらが有利かを慎重に検討する必要があります。
実例:4900円TOBの際に5000円で指値を入れたケース
過去の例では、TOB価格が4900円の際に5000円で指値注文を入れた投資家が、注文が約定せず最終的にTOBの応募期限が過ぎて売却機会を逃したケースがあります。
このように、「売れなかった場合のリスク」も念頭に置くことが大切です。短期的な利益よりも確実な売却を重視するなら、TOB応募が賢明な選択と言えるかもしれません。
まとめ:指値売却とTOBの違いを理解し、戦略的に判断を
TOBが実施されているときは、市場取引とは異なる価格帯や制約が生まれます。5000円での指値売却は理論的には可能ですが、現実的には成立の可能性が低い点に注意しましょう。
確実に売却して利益を確定したいならTOBへの応募を、値上がりを期待するなら高めの指値注文をというように、自分の投資方針に応じた判断を行うことが重要です。

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