「借金して投資すれば、レバレッジがかかって儲かるのでは?」という考え方は投資家の間でしばしば議論になります。特に低金利で借りられるローンを投資資金として利用する戦略は、理論上は一定の合理性があります。本記事では、カーローン500万円を利用してNASDAQ100に全力投資した場合、本当に丸儲けできるのか?そのリスクとリターンをシミュレーションとともに検証します。
シナリオの前提条件
まず、次のような前提で試算を行います。
- カーローン金利:年4.0%
- 返済期間:10年(元利均等返済)
- 借入金額:500万円
- 返済総額:約6,075,000円(月約50,625円)
- 投資対象:NASDAQ100(想定年利7%)
この条件でNASDAQ100に投資した場合、複利運用で約984万円に成長する見込みとなります。ローン返済総額との差額は約376万円と、一見すると儲かりそうです。
金利差によるレバレッジ効果の魅力
この戦略のカギは、投資利回り>ローン金利という構図です。投資収益がローン返済を上回れば利益になります。これを「スプレッド収益」と呼び、機関投資家でも運用に使われる考え方です。
例えば、年利7%で10年間複利運用すれば元本は約1.97倍になります。一方でローンの返済は固定的ですから、利回りが安定していればプラスが見込めます。
想定されるリスクと現実的な課題
理論上は儲かるように見えても、現実には以下のリスクがつきまといます。
- 市場暴落リスク:NASDAQ100は2008年や2020年のように一時的に大きく下落することがあります。短期での下落時に返済の原資が足りなくなる可能性も。
- 心理的負担:投資額が借金由来だと、価格下落時のメンタルダメージが大きくなり、途中で売却してしまうケースも多いです。
- 収入不安定:もし職を失ったり収入が減少すれば、毎月のローン返済が困難になります。
このように、成功には一定の運と計画性、そして強い精神力が求められます。
実例:リーマンショック期に投資していたら?
リーマンショック(2008年)でNASDAQ100は約半分に下落しました。その後の回復は早く、2013年には元の水準を超えましたが、途中で資金が尽きて売却していたら損失確定です。
一方で、下落時にも資金を追加できた人は大きなリターンを得られたのも事実。借金投資で成功するには、下落相場でもホールドできる「耐える力」が必要なのです。
「投資で返済」戦略の代替案
より堅実な選択肢として、次のような方法があります。
- 借金ではなく定期積立:積立NISAなどを活用して毎月コツコツ投資するスタイルは、ドルコスト平均法の効果も期待できます。
- キャッシュフロー優先:借金を背負わず、投資余力のある範囲で運用する方が精神的にも安定しやすいです。
- ETFの積立投資:VOOやQQQなどのETFを分散投資で積立てていくのも長期運用に向いています。
まとめ:夢はあるが慎重に
借金を元手にNASDAQ100へ全力投資という戦略には、理論的な旨味はあります。しかしながら、現実には相場の変動、心理的ストレス、収入リスクといった数々の壁が存在します。
資産形成においては「安定した余剰資金での運用」が王道です。レバレッジ戦略はあくまでハイリスク・ハイリターンの戦術として、慎重に検討した上で取り組む必要があります。

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