企業の財務諸表を読み解くうえで、貸借対照表(バランスシート)の「負債の部」は非常に重要なポイントです。中でも「短期借入金」は、企業の資金繰りや経営の健全性を見極めるうえで見逃せない項目です。本記事では、短期借入金の返済方法や返済状況の確認の仕方について、初心者にも分かりやすく解説します。
短期借入金とは何か?
短期借入金とは、金融機関などから借り入れた返済期間が1年以内の借金を指します。これは運転資金など、日々の業務に必要な資金を補う目的で利用されることが多いです。
たとえば、売上入金のタイミングと仕入れ支払いのタイミングにズレがある場合、一時的に短期借入金で資金を調達するケースが典型です。
短期借入金の返済タイミングは均等か一括か
短期借入金は「均等割りで四半期ごとに返す」といった決まりはなく、契約内容によって異なります。契約期間満了時に一括返済されることも多く、実務では期末に一気に返済されるケースも見られます。
ただし、分割返済を設定することも可能で、資金繰りや借入先との交渉に応じて柔軟に対応されます。
短期借入金の返済状況を確認する方法
企業が借入金を適切に返済できているかを知るには、キャッシュ・フロー計算書を見るのが有効です。「財務活動によるキャッシュ・フロー」に記載される「短期借入金の返済による支出」をチェックしましょう。
また、貸借対照表を年度ごとに比較して、短期借入金の残高が減っているかどうかを確認するのもひとつの方法です。これにより、借入金の増減状況が把握できます。
実例:ある上場企業の財務諸表をチェック
たとえば、A社の決算書を見ると、前年に「短期借入金 50億円」と記載されていたのが、今年度末には「短期借入金 20億円」に減少していたとします。この差額30億円が返済されたか、あるいは長期借入金への切り替えなどで減少したと推測できます。
さらに、キャッシュ・フロー計算書で「短期借入金の返済 -30億円」と記載があれば、確実に返済が行われた証拠となります。
返済できていないとどうなる?
企業が短期借入金を返済できなければ、資金繰りの悪化や金融機関からの信用低下を招く可能性があります。最悪の場合、新たな借入が難しくなり、経営破綻のリスクも。
そのため、自己資本比率や流動比率などの指標と併せて、短期借入金の動きにも注意を払うことが大切です。
まとめ:短期借入金を読み解く力は投資判断にも直結する
短期借入金は単に「借金」として見るのではなく、その背景や返済能力まで総合的に把握することが重要です。均等返済か一括返済かは契約次第で、返済の有無はキャッシュ・フロー計算書や貸借対照表で確認できます。
企業分析において、こうした細かい項目の理解は投資の精度を高めるために欠かせません。まずはIR資料や四季報などを活用して、実際の数字に触れる習慣をつけてみましょう。

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