債券投資において「価格の変動」は避けられないリスクですが、満期まで保有することで価格変動による影響を受けずに済むという特性があります。とはいえ、実際の資産運用ではこの考え方がどこまで有効なのか、具体的に理解しておくことが重要です。
債券は満期保有で元本が戻るのが基本
債券はあらかじめ決められた期間(満期)まで保有することで、元本(額面金額)が返ってくる仕組みです。そのため、途中で売却せず満期まで保有すれば、購入時点で定められた利息(クーポン)と額面金額が返ってくるのが原則です。
たとえば、100万円の額面で利率1%・5年満期の債券を購入すれば、5年間毎年1万円の利息を受け取り、満期時には100万円が戻ってきます。この間、途中で価格が下がっても売らない限り損失は確定しません。
なぜ債券価格は変動するのか?
債券の価格は「金利(利回り)」の変動によって上下します。市場金利が上昇すれば既発債券の価値は下がり、逆に市場金利が下がれば既発債券の価値は上がります。これは、新しい債券と比較して、利息の魅力が相対的に変化するためです。
たとえば、市場金利が1%のときに発行された債券があるとして、その後市場金利が2%に上昇すると、投資家は新しい2%の債券を選ぶようになります。その結果、既存の1%債券の市場価値は下がるというわけです。
途中売却しなければ価格変動の影響は受けない?
基本的にはその通りで、債券を満期まで保有すれば、途中の価格下落による損失を実現することはありません。ただし、これは「発行体が倒産しない」「利払いが滞らない」などの前提条件が満たされている場合に限ります。
また、債券を途中売却する場合、購入価格より下がっていれば損失が発生します。特に、急な資金需要などで売却を余儀なくされると、相場の状況によっては不利な価格で手放すことになります。
利回りやインフレの影響にも注意
満期保有による元本保証的な考え方は精神的な安心感を与える一方で、実質的な利回りやインフレの影響を見落としがちです。たとえば、利回りが1%でインフレ率が2%の場合、実質的には資産価値が目減りしていることになります。
そのため、保有期間中の「実質リターン」にも注目し、インフレや税引き後の手取りを意識することが大切です。
債券投資の位置づけを理解しよう
債券は「安定した収益」と「元本保全」が魅力の資産ですが、株式よりもリスクが低いとはいえ完全にリスクがないわけではありません。債券の信用リスク(デフォルトリスク)、価格変動リスク、流動性リスクなども存在します。
したがって、資産全体の中でどのような位置づけで保有するのか、他の資産とのバランスを意識したアセットアロケーションが重要です。
まとめ:売却しなければ損はしないが「ノーリスク」ではない
債券は満期まで保有すれば額面で償還されるため、途中の価格下落は気にしなくてよいという考えは基本的に正しいです。ただし、それは発行体の信用が保たれている前提であり、売却を前提にしない場合でも、利回り・インフレ・信用リスクなどの視点から定期的な見直しは必要です。
リスクを正しく理解したうえで、債券を安心して長期保有できる運用戦略を立てることが、資産形成の成功につながります。

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