財市場における経済政策の基本と「妥当でない政策」の見極め方

経済、景気

経済政策には金融市場や財市場といった異なる対象があり、それぞれに効果的な政策とそうでない政策があります。特に財市場(財の供給と需要が交わる場)においては、どの政策が適切で、どれがそうでないのかを理解することが、マクロ経済の基礎を学ぶうえで重要です。本記事では、財市場における代表的な政策と、それらが経済に与える影響を比較しながら、「妥当でない政策」の見極め方について解説します。

財市場とは?まずは基本から理解しよう

財市場とは、財・サービスの供給と需要がやりとりされる経済領域で、総需要(AD)と総供給(AS)の均衡によって国民所得や物価が決定されます。

財市場の需給バランスを調整するためには、「財政政策」(政府支出や税制)や「構造改革」(規制緩和など)が活用されますが、すべての政策が等しく効果的というわけではありません。

妥当とされる政策① 財政支出

政府による公共投資や補助金などの財政支出は、直接的に総需要を増やす効果があり、景気刺激策として財市場において妥当な政策とされます。

たとえば、景気後退時に政府がインフラ整備を行えば、雇用創出と消費拡大を通じて経済活動が活性化します。これはIS曲線を右シフトさせ、国民所得の増加につながります。

妥当とされる政策② 規制緩和

労働市場や産業への規制を緩和することも、財市場における供給側改革として有効です。新規参入や競争促進を通じて供給力が高まり、生産性の向上・価格の安定が期待できます。

例えば、通信業界の規制緩和により、格安SIM業者が登場し、価格競争が進んだことは記憶に新しいでしょう。これは「総供給(AS)曲線の右シフト」に相当し、物価上昇を抑えながら成長を促す政策です。

妥当でない政策:増税

景気刺激が目的である場合、増税は財市場において妥当とは言えません。税金を増やすことは、可処分所得の減少を通じて消費や投資を冷やし、結果的に総需要を減少させてしまいます。

たとえば、所得税や消費税の引き上げは、家計の支出を抑制し、民間投資の減退にもつながるため、IS曲線を左にシフトさせ、景気後退を加速させる可能性があります。

もちろん、財政再建やインフレ対策としての増税は別の文脈では正当化されますが、財市場の活性化を目的とする政策としては「妥当でない」選択肢になります。

財市場と金融政策の違いにも注意

なお、金融政策(金利操作や資金供給など)は主に「貨幣市場」を対象とする政策です。中央銀行が行う政策金利の変更は、企業や家計の借入行動に影響を与え、間接的に財市場にも波及します。

しかし、金融緩和だけでは需要の喚起が難しい局面もあり、財市場においては財政政策の役割がより直接的かつ強力です。

まとめ

財市場における政策として妥当なものには「財政支出」や「規制緩和」がありますが、「増税」は景気刺激を目的とする場面では逆効果となる可能性が高く、妥当でない政策と判断されます。経済政策の評価は、その目的や経済環境によって変わるため、常に全体の文脈を踏まえて分析する視点が大切です。

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