日本で賃金が上がり物価・インフレが続く一方、アメリカで物価高と株式の大暴落が同時に起こる事態が起きた場合、日本経済はどのように影響を受けるのかをシナリオごとに整理して解説します。
両国の同時ショックとは何か?
日本で賃金が上昇しインフレが進む一方、米国では物価高と株価急落が重なるという構図は、世界経済に大きな不確実性をもたらす可能性があります。
このような状況が現実となれば、資本フロー・為替・消費・政策対応などが複雑に絡む展開となります。
シナリオ1:円高進行と輸出産業への影響
米株暴落によるリスク回避で投資マネーが円に流入すると、円高局面に転じる可能性があります。この結果、円高に伴い輸出企業の収益が圧迫され、株価下落を招く恐れがあります。
さらに、円高が進行すれば、輸出依存型の業種には逆風となります。
シナリオ2:賃金・物価のサイクルと実質所得へのプレッシャー
日本では名目賃金が上昇しても、実質賃金が物価上昇に追いつかなければ景気回復の実効性は限定的です。5月時点で実質賃金は前年比▲2.9%、名目賃金上昇は1%にとどまっていることが報告されています。これは賃金-消費の好循環構築に大きな障害になります。[参照]
物価上昇と賃上げのミスマッチが続くと、消費回復が鈍化し企業業績にも波及します。
シナリオ3:金融市場とキャリー取引の崩壊
米株暴落や米利回り変動がリスクオフを引き起こすと、円キャリー取引の巻き戻しが生じ、世界の債券市場に動揺が広がる可能性があります。
日本が長期間にわたる超低金利政策に支えられてきた構造が逆回転する局面では、投資家が現金化を急ぎ、国内外の株式・債券市場に連鎖的打撃を与えかねません。[参照]
シナリオ4:政策対応と緩和からの転換
日本銀行は7月末にインフレ見通しを上方修正し、<政府との協調の下での利上げ>余地を示唆しました。利上げへの舵取りはインフレ抑制には必要ですが、米市場の混乱時には慎重な対応が必要です。[参照]
金融政策の正常化と同時に海外経済の不安が拡大すると、輸出と家計消費の双方が圧迫される二重リスクに直面します。
具体例:過去の類似事例から学ぶ
1987年のブラックマンデーでは、東京市場は日経平均が一日で約15%下落しましたが、価格制限や短售規制など制度的対策により比較的早く回復しました。
金融政策や市場慣行の違いがショック回復力に影響するため、制度環境も重要な要素となります。[参照]
まとめ
日本で賃金上昇・物価高・インフレが進む一方、米国で物価高と株価暴落が同時に発生した場合、為替急変・実質所得悪化・キャリー取引崩壊など多重リスクが経済に圧力をかけるシナリオも否定できません。
このような混合ショックへの備えとしては、政策対応の柔軟性、消費と賃金のバランス、金融市場制度の強化が鍵となります。

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